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【Memory of 『N』】第四話 しょうしつ Part2

N「…じゃあ、ゾロア。今日は僕勉強があるから、森に行ってくるといい。」

ゾロアは、今日森に帰って、みんなと遊ぶ予定だった。
前は森のポケモン誰からも相手にされなかったが、Nの力を借りて、また友達が戻ったのだ。
しかしまだ日が浅く、まだギクシャクしているみたいだった。

ゾロア「ヒヒヒヒヒ!!…N。ありがとうな。」

N「いいんだってゾロア。気にすることはない。森のみんなと仲直りできた君に、できないことはないって。」

ゾロア「ヒヒヒヒヒ!!そうかな?」

Nはニコッと笑り、それを見てゾロアも笑い返した。

N「ほら、お守りだよ。ゾロア。」

そういうと、Nはボイドキューブにひもを取り付け首からかけられるようにしたものを、ゾロアの首にかけた。

ゾロア「…サンキューな。ありがとう。」

N「君がそれを素早く解く姿を、みんなに見せてやれよ。」

ゾロア「ヒヒヒヒヒ!じゃあ、おいら行ってくる!!お風呂の時間ごろには帰ってくるからな!!」

そういうと、ゾロアは窓の隅に飛び乗り、外に出る体勢をとりながらNの方を見た。

N「ああ、いつも窓を空けて待ってくるからな。」

そういい、Nは笑顔で手を振り、ゾロアを見送った。
帰ってくる人を送るように。



??「…ゲーチス様。ゾロアはN様の部屋を旅立ちました。」

ゲーチス「よろしい。では、こちらも始めるとしましょう。」


…ゲーチス、アイの女神、ダークトリニティの一人は、屋敷の外の森にいた。
ゲーチスは、無線用のインカムをつけ、屋敷にいるダークトリニティと連絡をとっていた。
ダークトリニティは、なにやら水が入ったような容器、使い古した毛布、粗く削った機材等をいじっていた。
そしてアイの女神は、表情のない顔で、屋敷の方角をみていた。

アイ「…。N…。」

ダークト「準備できました。ゲーチス様。風向きも、機材も、完璧です。あとは点火のみです。」

ゲーチス「よし。では始めよう。アイ、こっちにこい。」

アイ「…はい。わかりました。」

ゲーチス「では、計画通り始める。ダークトリニティ、例のものを。」

ダークト「はい、アイの女神様、こちらをどうぞ。」

アイ「…。」

ダークトリニティの手には、松明が握られていた。
…いや、松明というより、聖なる杖、と言った方が外見的にはあっていた。
しかし、それは松明とは違い、炎の勢いが2倍近く強かった。
何かに確実に火をつけるために作られたもののようだった。

アイ「…。」

ダークト「…どうされました?アイの女神様?さぁ、こちらを受け取ってください。」

そういい、ダークトリニティは、その松明をアイの女神に持ちやすいよう近づけた。

アイ「…。」

…しかし、アイの女神は、動かない。表情も変えない。

ゲーチス「…どうした。アイ。さぁ、その松明で、始まりを告げるのだ。その火が、Nの進化を開闢させる!!そうすることでNは王に相応しい力を、心を手に入れる!!そして始まるのだ!!私たちの計画も!!…さぁ!!その松明を受け取りなさい!!

ゲーチスの激号に、アイの女神も反応した。
無表情だった顔は、渋いものになり、体は震えだし、静かに松明に手を伸ばした。

アイ「…。」

しかし、寸での所で、手を下げてしまう。あと少しのところで、受け取れない。

アイ「…。」

そうして、アイは手を伸ばし、松明を、受け取らず、足を折りたたみ、膝を地につけ、体を前屈さえ、額をも地につけ、体を震えさせながら、声を出した。

アイ「…申し訳ありません。私には、できません。」

ゲーチス「!!?

ダークト「アイの女神様…。」

アイ「…あの子の心に深い傷を負わせるような、あの子が深く悲しむようなことは、私には、だって、だって…。私はあの子の…。」

ゲーチス「顔をあげろ!!アイ!!」

アイ「!??」

ゲーチスの大きな声に、アイは体を大きく震わせた。そして、顔を上げた。
その顔は、本来とても女神そのものの、美しく高貴な顔をしているはずだが、今は涙でぐしょぐしょになり、顔は真っ赤に火照っており、それは子供の命乞いをする母の顔に近かった。
そしてゲーチスの顔は、地獄の鬼そのものだった。

ダークト「…。」

ゲーチス「いいから火をつけろ!!そんなこともできないのかお前は!?この無能め!!役立たず!!下女!!借り腹!!Nはもう王になる未来が決まっているんだぞ!!そのために必要なことだといっているのに、まだわからないのか!!?知能ゼロ!!はしため!!」

アイ「…!!」

心無いゲーチスの怒りの言葉の連続に、アイは、泣くのを抑えるので精いっぱいだった。
アイのひどい顔が、さらにひどくなっていく。…しかし、そんな顔を見ても、ゲーチスの顔はまだ変わらない。

ゲーチス「…ハァ。仕方ない。現われよ。デスカーン。」

そういい、モンスターボールを取り出し、地面に勢いよく叩きつけた。

パアーン!!

デス「デス、カーン。」

ゲーチス「デスカーン、サイコキネシス。あの女に松明を使わせ森に火を点火させろ。」

デス「デスデスデス、カーン!!」

ゲーチスの命令に反応し、デスカーンの目が光った。
それと同時に、アイの体がふわりと浮かんだ。

アイ「やめて…やめて!!!」

アイの体は自分の意志とは裏腹に、デスカーンの意のままに動かされた。操り人形のように立たされ、ダークトリニティの近くに近づき、右手で松明を持たされた。

アイ「いや、嫌なの!!やめて!!」

そして、松明を持たされたアイは、積み上げられた燃えやすいものの近くに寄せられた。

ゲーチス「…念には念を。お前たちも出てきなさい。」

ゲーチスは、残りの5つのモンスターボールを解放した。
邪悪な黄金櫃、
角を持つ猛獣、
巨大な電気鰻、
イボイボのお化け蛙、
鋼鉄の指揮官、
双首の黒竜、全てがアイの女神を監視していた。少しでも不審な動きを見せたら、すぐに動ける体勢にあった。

アイ「だめ、それはダメ!!」

そしてアイの動かされている右手は、あと寸でのところで火が付く所まで近づけられた。
…しかし、そこから動かない。アイの体はプルプル震えているが、松明の火をつけるところまで至らない。

アイ「…くぅ。ううう。いかせない。」

ゲーチス「…今です。デスカーン。」

デス「デスカーン。」

そういい、デスカーンはサイコキネシスを解いた。
その瞬間、操り人形だったアイは、糸が切れたかのように、その場に倒れこんだ。

アイ「ぐぅ!!」

ダークト「…計画、スタートですね。」

アイ「…?…あ、」

自分の持っていた松明は、倒れた衝撃で反発的に離し、その火は
…燃え広がっていた。
焚火の火なんて、生易しいものではない。その火の規模は、まるで燭台につけた聖火が、一気に燃え広がるような勢いだった。

ゲーチス「さぁ、ここからですよ!!ここから全てが始まるのです!!」

ゲーチスは、高らかに宣言した。
その振る舞いと宣言は、演劇に出てくる神官そのものだった。
松明から始まった火は森の木々に、新聞紙に火をつけたような勢いで燃え広がっていった。
…もう、止められない。
その火を。
そのはじまりを。
そのしょうしつを。

アイ「…ごめんなさい。Nぅ。私、何もできなかった…。」



N「…?」

ヘイワ「…どうしました?N?」

N「…何か、聞こえたような気がします。ヘイワの女神。」

ヘイワ「…。N様らしくないですね。勉強に集中してください。」

N「わかりました。では、続きをします。」

Nはヘイワの女神と二人で、勉強をしていた。今日は、Nの大好きな数学だった。…しかし、なんだか身に入らない。いつものように素早く数式が解けない。

N「…ヘイワの女神。」

ヘイワ「なんですか?N様。」

N「自分の大好きなもの、いや友達が、少し不安にかられていたら、ヘイワはどうする?」

ヘイワ「…?言葉の意味が分かりませんが、N様?」

N「…いや、ただふと絵本を読んでいたら、思いついたんだけど、、、そういうキャラクターが出てきて、自分だったらどうするべきだか考えたけど、何も思いつかなくて…。ヘイワの女神だったら、どうするかなぁって。」

ヘイワ「…。そうですねぇ。…。」

一度は叱ろうと言葉を出そうとしたが、Nのいつになく真剣な顔をみて、それをやめ、言葉を考えた。

ヘイワ「…私でしたら、その方の傍についてあげます。その方の不安が取り除けるように、傍にいて力になってあげるようにします。それが、トモダチにできることだと、私は思います。」

N「傍に…。」

ヘイワ「そうです。傍に自分の大好きな人がいると、自分でも信じられないような力が出るものです。…N様の好きな伝説の三闘も、大好きな仲間を守りたいと思い、あのような偉業をなしとげたのですよ?」

N「…そうでしたね。ヘイワの女神。」

ヘイワ「…勉強に身が入っていませんね。…仕方ありません。今日はここまでです!!あとは自由時間です。自分の部屋で勉強していてください。」

N「へ!!?本当ですか!?」

ヘイワの女神は今まで、どんな難しい問題があっても、必ず自分に解かせた。そんなヘイワの女神が、9時の時点で勉強を切り上げるなんて、今までありえなかったことだ。

ヘイワ「本当です。さぁ、片づけて部屋に行きなさい。」

N「へ、ちょ、どういう、へ?」

ヘイワの女神は、困惑しているNの姿を余所に、勉強体勢を素早く片づけ、Nに全部持たせ、背中を押し、勉強部屋から追い出すように追い出した。

バタン!!

ヘイワ「…。」

扉を閉め、Nがいないのを確認した後、ヘイワは天井を見上げた。

ヘイワ「…頑張るんですよ。N。…アイ。私にできるのはここまでです。」

??「そんなことをして、あとでどうなっても知らないぞ。」

ヘイワ「…覚悟はできています。…そういうあなたも、N様を止めに行かなくていいんですか?」

ダークト「もう一人がいるから、問題ない。…それよりお前を監視している方が大事だ。」

ヘイワは、天井を見た後、窓を見た。外には鳥ポケモンが沢山飛んでいた。
いつもこの時間でこれだけの数の鳥ポケモンが飛ぶことは、異常だった。

ヘイワ「…ふ、N。トモダチを…。守るんですよ。」

…Part3へ続く
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テーマ : ポケットモンスターブラック・ホワイト
ジャンル : ゲーム

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しばせんし

Author:しばせんし
↑の犬の飼い主が柴戦士
いーぬは喜びゆきかけまわりー



Hyper-和食見習い小僧の20代が、遊戯王、ポケモン、その他生活の雑談を上げていくブログです。(^O^)/
何か変なところがありましたら、いつでも書いてください。迷惑コメントは容赦なくスパム

現在遊戯王でよく使うデッキは、
・スクラップ
・EMオッドアイズ魔術師
・サイフレーム
・ブラマジ
               です(^O^)/


どうしたらスクラップの良さを残し戦えるかを考えています。
スカイプデュエルも、ツイッターか、コメントで相談してもらえればできる予定。

ポケモンは、とある人の動画をきっかけにやり始めました=^_^=
ウルガモスと、カメックスを
対戦でこよなく愛して使ってます。
いつか対戦実況動画とかとってみたいなとおもっていたら取れました。
ニコニコ対戦実況動画
ダブルバトルもできるよ!!…弱いけど
だけど第六世代になってから、色々と時間が足らない様子。

再現料理も、やりたい年頃。
こう見えても現役調理師なので、
料理スキルはあるはず。
何かしてほしい再現料理がありましたら、コメントお願いします<(_ _)>

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