【Memory of 『N』】第八話 アイス Part3

…ヒウンシティ。そびえ立つ高層ビルが規則正しく並び、巨大な港があるこの町は、常にイッシュの商業の中心を担っていた。それ故にこの町で働く者は働き者であり、常に最善の行動をするようにしていた。その結果は建物や街づくりにも反映されていた。町はヒウンセントラルエリアを中心に広がるように作られていた。

N「…この、規則正しく並んだ町の構造、素晴らしい!!…だが、この町の人々みたいにいつでも忙しなく走り回るのは好きにはなれないな…。」

Nは、セントラルエリアの中心で町を見ていた。Nは町に足を踏み入れると、その町を見て回るのが好きだった。小さい頃から幽閉されて育ったNは、どの町の景色も新鮮に見え、足が自然と進んでしまうのであった。…そんなNという存在はどこに行っても目立つものなのだが、この町の人々はそんなNを一目くれても、すぐに早足でどこかに向かってしまうのだった。

N「…いや、走り回っているからこそ、無関心なのか。それはそれで心が落ち着くから、良いかもな。」

そういい少し苦笑すると、ふと空を見て考えだした。

N「…僕は、英雄になるのに足りる存在なのか…。どうなのだろうか…。…こんなちっぽけな存在の…僕が…。」

最近ずっと考えていることだ。しかし考えても考えてもいくら考えても、答えは出なかった。…そんな時、声が聞こえた。

ブラック「…なんだ、Nか。お前こんな所で何をしているのだ?」

N「!?お前は、ブラック!!?」

きがつくとそこには、ブラックが立っていた。その後ろからは彼のフェイバリットの『フタチマル』がついてきていた。

N「別に、僕だって一人になって考えたいことだってあるんだ。」

ブラック「そうか…そんな事より、ちょっと付き合ってくれないか?人数が多い方が有利なんだ。頼む。」

フタチ「フタチ!!」

N「…へ?ってわぁ!!ちょっとどこに連れて行くんだ!!?」

そういい、ブラックとフタチマルはNの手を無理やり握り一緒に走り出した。



N「…で、ここはどこなんだい?」

ブラック「いいからそこに立っていろ!!それだけでいいから!!」

フタチ「フタチ!!フタチ!!(そうだ!!そうだ!!)」

Nは簡単に言うと、とある行列に立たされていた。Nの後ろには、ブラック、そしてフタチマルが並んでいた。

N「…一体、ここに立っていると、何が起きるんだい?」

ブラック「お前は、行列に並んだこともないのか?」

N「…行列?」

ブラック「そうだ。行列というのはな、そこに並んでいるとその店で売っているものを売ってくれるものなんだ。…そして、行列が並ぶものは、たいてい人気なんだ。俺としては、折角ヒウンシティに来たんだ。その人気アイスを食べてみたい。…それに、この町のジムをクリアしたら、ポケモンたちにもアイスを買ってやる約束をしてしまったからな。絶対に買っていかなければならないんだ。…みてくれよ。フタチマルのマルルなんて、待ちきれないで、ボールから出てしまったんだぞ。」

フタチ「フタチ!!フタチ!!(そうだ!!食べたい!!)」

N「…つまり、君たちはこの『行列』の先で売っている『ヒウンアイス』とかいうのが食べたくて、この『行列』に並んでいるということなのか?」

ブラック「そういうことだ。」

それを聞いて、Nは首をかしげた。

N「…だが、それだと一つ疑問が残るのだが。」

ブラック「…ん?何がだ?」

N「…どうして僕も一緒に並んでいるのだ?君たちだけで並べば、それでいいじゃないか?」

別に僕はその『アイス』とかいうのを、食べたいとも思わないし。…とは口に出さなかった。

ブラック「ふっふっふっふっふ。知っているか?この店、アイスを一人が買える最大個数が、3つまでなんだ。俺は、自分用、フタチマルのマルル用、そして新入りのダルマッカのダルル用、つまり3つ必要なんだ。…だが、お前が3つ買ってくれれば、もっといっぱい食べれるじゃないか!!」

フタチ「フタチ!!フタチ!!(そうだ!!食べたいんだ!!)」

N「…。何とも、そんなことの為に僕を付き合わせるのかい?」

ブラック「そんな事ではない!!」

N「!!?」

突然に真剣な顔で大声を出すので、Nは驚いてしまった。彼の眼は、ポケモンバトルの時と同じくらい真剣な顔をしていた。…そして、それに魅入られてしまった。

ブラック「…これは、完璧を目指す俺にとっては避けられない道なんだ!!…はい、これお金。N、お前も三つ買うんだぞ。そして一つは食べていいから、あとは俺たちに頂戴。」

フタチ「フタチ!!フタチ!!(アイス!!アイス!!)」

そういい、ブラックはNにお金を渡した。彼の掌から、溢れんばかりの情熱が伝わってくるようだった。

N「…君ほどの男がそこまで熱意を持って取り組めることなら、きっと僕にも意味があるのだろう。…いいだろう。協力するよ。」

そういい、Nは右手を前に差し出した。

ブラック「ありがとう!!N!!」

ブラックはその手を握り、堅く握り返した。この時、アイス同盟が結成されたのだ!!


N「…僕の3つで最後?」

店員♀「はい!!真に申し訳ありませんが、お客様のヒウンアイス3つで最後になります。」

ブラック「なん…だと!?」

…そして、2時間並んだ末に待っていた結末は、あまりにも残酷なものだった…。

N「はい、ではその3つください。…はい、ありがとうございます。」

店員♀「いえいえ…(ポッ。)」

N「?」

どうして店員が顔を染めたのかは不明だが、とりあえずアイスを三つ買うことに成功した。
それをおもむろに一つ取出し、右手に持ってみた。
…初めて嗅ぐ甘い香り。
手に伝わる冷たさ。
…その未知の体験に、おなかがなるのを感じた。

N「…ブラック、これはどう食べればいいんだい?」

ブラック「俺の分がないなんてありえない。これはきっと何かの間違いだ。…ん?普通に口に含めばいいんだが?」

ブラックはそういうと、それにかぶり付く仕草を見せた。

N「…立ったまま食事をしろというのかい?」

ブラック「細かいことは気にするな!座れる場所に移動したら、その間にアイスが解けちまうぞ!」

ダルマ「ダルマッカ!!(そうだ!!食べちゃえばいいんだ!!)」

フタチ「フタチ!!(ぱっくてさ!!)」

いつの間にかボールから出てきていたダルマッカとフタチマルになぜか応援された。…遅る遅る、それを一つ口にした。

…ぱく。

N「…つめた!!…甘い、…おいしい!?」

おいしい。
素直にそう思えた。
口の中に広がる、今まで体験したことのない世界、間違いなくこれは、特別な味だった。

ブラック「な!!だろ?これは、特別なアイスなんだ。おいしいのは、当たり前だ。」

N「このアイスは特別…。それが当り前…。そうか、ブラックはこの特別を手に入れる為に『行列』とかいうのに並んだのか!!理解したよ!!」

ブラック「そうなんだよ!!これがほしくてさ…。っておい!!何アイス残り二つ俺のポケモンにあげているんだよ!!?」

ブラックが何かをぺちゃくっている間に、自分はそのアイスをすぐに食べ終わり、残りのアイス二つをブラックの二匹のポケモンに上げていた。

フタチ「フタチー!!!(うまいー!!)」

ダルマ「マッカッカ!!(つめてぇ!!)」

N「?特別なものはまずポケモンに与えるのが普通じゃないか?…ブラック、ありがとう。今回君から、特別なものを教えてもらったよ。…このアイスというものは、特別な力があるんだね!!…こんな小さなアイスでも、特別な力を持つことができる。…それより大きい僕が特別な存在になれないでどうするんだ!!」

何かに勝手に納得していたNの瞳は、キラキラ輝いていた。

ブラック「いや、アイスにそんな力はないぞ!?…そんな事より、俺もそのアイスが食べたいんだ!!N!!」

N「ありがとう、ブラック。今度君に会った時は、何かお礼をするよう考えるよ!!じゃあね!!」

完全に自分一人で納得していたNはそういい、颯爽と走り去っていった。

ブラック「こら待て!!せめて、せめてお金は返してくれぇええええ!!」

そういいブラックはNを追うも、人ごみが激しいこの町で駆け出している人を特定するのは難しい話だった。…Nに追いつけなかったブラックは、その場に膝から倒れ込み呆然とした。

ブラック「…。」

フタチ「…フタチィ。(マスター。ごめん。)」

ダルマ「…ダルマッカ。(俺も、ごめん。)」

二匹のポケモンが、ブラックに寄り添うように近づいてきた。…しかし、ブラックは立ち上がり、そして言った。

ブラック「…並ぶぞ。徹夜して。あのアイス屋さんの前に簡易テントを張るぞ。…何が何でも、あのアイスだけは食べていくんだ!!何事にも完璧であるために!!」


…Part4へ続く
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…ヒウンシティ。そびえ立つ高層ビルが規則正しく並び、巨大な港があるこの町は、常にイッシュの商業の中心を担っていた。それ故にこの町で働く者は働き者であり、常に最善の行動をするようにしていた。その結果は建物や街づくりにも反映されていた。町はヒウンセントラル...

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しばせんし

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Hyper-和食見習い小僧の20代が、遊戯王、ポケモン、その他生活の雑談を上げていくブログです。(^O^)/
何か変なところがありましたら、いつでも書いてください。迷惑コメントは容赦なくスパム

現在遊戯王でよく使うデッキは、
・スクラップ
・EMオッドアイズ魔術師
・サイフレーム
・ブラマジ
               です(^O^)/


どうしたらスクラップの良さを残し戦えるかを考えています。
スカイプデュエルも、ツイッターか、コメントで相談してもらえればできる予定。

ポケモンは、とある人の動画をきっかけにやり始めました=^_^=
ウルガモスと、カメックスを
対戦でこよなく愛して使ってます。
いつか対戦実況動画とかとってみたいなとおもっていたら取れました。
ニコニコ対戦実況動画
ダブルバトルもできるよ!!…弱いけど
だけど第六世代になってから、色々と時間が足らない様子。

再現料理も、やりたい年頃。
こう見えても現役調理師なので、
料理スキルはあるはず。
何かしてほしい再現料理がありましたら、コメントお願いします<(_ _)>

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