【Memory of 『N』】第九話 父 Part2

ブラック「…お前に、質問があってここまで来た。」

ゲーチス「質問?この私にか?…てっきり罵詈雑言を言いに来たのかと思ったわ。」

そういい、ゲーチスは苦笑した。…この男ゲーチスは、例え檻の中にいてポケモンを失っている今でも、昔と変わらぬ存在感をしめしていた。…いや、昔から持っていた負の面は、けして色褪せている印象はなく、むしろ熟成されていき、より色鮮やかになった印象を受けた。
…こちらを見つめる瞳は、まるでこちらを負の面に誘うような、そんな輝きがあった。


ブラック「…お前に対する負思いは、言い尽くせないほどある。」

ブラックは理解していた。…ゲーチスは言葉遊びをしているのだと。こちらが聞こうとしていることを、聞けなくするために、あえて、こちらを挑発するような言葉を続けているのだと。…ブラックは、自分の中に込み上げてくる負の感情を、抑えて、抑えながら、必死に言葉をつなげた。

ゲーチス「…ほう。それは良かったではないか。…憎しみは、人を進化させるぞ。」

まるでそれを見透かしているかのようにゲーチスは言ってきた。…これに反応してはダメだ。落ち着かせないと。

ブラック「…だが、お前に今聞きたいことは一つだけ。」

ゲーチス「…。」

ブラック「…プラズマ団の城に行く方法を、教えてください。」

ブラックは、お願いするようにそう言った。

ゲーチス「…プラズマ団の城…。あんな所に今一度行ってどうするのだ?」

そういいゲーチスはこちらの瞳を覗き込むように顔を見回してきた。…その視線に耐えきれず、つい顔をそらしてしまった。

ブラック「…あなたに答える義理はない。だが、教えてほしいんです。」

ゲーチス「…私が断言しよう。…あそこには何もない。」

顔をそらしたのを見て、ゲーチスも顔を天井に向けてそういった。

ブラック「知っています。…けど、それでいいんです。それだからこそ、思いが読み取りやすくなる。」

その一言に、ゲーチスの瞳は輝きを増した。再びその瞳をこちらに向けてきた。

ゲーチス「…そうか、お前は場所や物から思いを読み取り、そこから人の記憶を除くことさえできるのであったな。」

ブラック「…。」

ゲーチス「…しかし。あの城に私の思いはもう残っていない。残念ながら全て捨てて行った。」

ブラック「知りたいのはあなたの思いじゃない。」

ゲーチス「…では、誰の思いなのだ?」

ブラック「…Nの思いです。」

ゲーチスの言葉に、ついそのまま言葉を返してしまったブラック。それは言ってはいけない言葉だった。檻の中でずっと熟成された悪の言葉遊びに、10代の若造が勝てるわけがなかった。…その言葉にゲーチスの顔は更に明るくなり、そして言った。

ゲーチス「Nの思いか…。ますます教えたくなくなった!」

ゲーチスは檻の向こう側で笑っていた。…こうなった男の口から言葉を割らせるのは難しいだろう。

ゲーチス「…あんな屑は、正直どうでもいいが、私が話さなければ、お前は困るみたいだしな。私とて教える義理はない。ならば言う必要は0ということだな。」

そういい、ゲーチスは完全にそっぽを向いてしまった。

ブラック「…。」

…そんなゲーチスにできることは、ブラックの頭の中には一つしかなかった。…誠意をこめて、願いをこう者のポーズ。そう、土下座だ。

ブラック「…。お願いです。プラズマ団の城への行き方を、教えてください。」

ブラックは、檻の目の前でゲーチスに向けて土下座をした。…その姿はチャンピオンの貫禄はなく、ただ純粋にすがるものの姿であった。

ゲーチス「…。」

その姿に、ゲーチスは顔をそっちに向けた。…そして考えるように言葉をつづけた。

ゲーチス「…どうして、そこまでするのだ?あんな屑の為に、そこまでして読み取りたい思いとは、いったいなんなのだ?」

そういい、更に質問をかけた。ブラックはもう既に言葉遊びに付き合うつもりはなく、ただその質問にそのまま答えるだけであった。

ブラック「…このイッシュを、救うため。不本意ながら、俺はもう一度英雄になるよう挑まなければいけなくなりました。…その為に、どうしてもあの城の記憶を読み取る必要があるのです。」

ゲーチス「…英雄か。ふ。…あの屑がなれなかった存在か。」

…ゲーチスはその姿を見て考えるようにつぶやいた。

ゲーチス「よかろう。こちらに顔を近づけなさい。他の者に聞こえないようにお前にだけ教えてやろう。」

…意外だった。ここであっさり教えるような男ではないと、ブラックは踏んでいた。…何かきな臭さを感じずにはいられない。…だが、教えてもらえるのであれば、断る理由もなかった。ブラックは素直に受け入れることにした。

ブラック「…ありがとうございます。」



ジャガ「…何もなくて、本当によかった。君がゲーチスに土下座をしたときは、肝が冷えたよ。」

監獄から外に出て、ジャガの自宅でテーブルを囲むように椅子に座りながら、ジャガは話した。あの後ブラックはゲーチスからプラズマ団の城の行き方を聞き出した後、すぐにその牢を後にして出て行った。

ブラック「…お蔭で、手がかりがつかめました。無理な我儘を言って、申し訳ありません。…そしてありがとうございます。」

そういい、ブラックはジャガに向けて軽くお辞儀をした。

ジャガ「…本当に行くのか?…プラズマ団の城へ?」

ブラック「…はい、僕は行きます。…では、そろそろお暇させていただきます。…お茶御馳走様でした。」

そういうとブラックは立ち上がった。

ジャガ「…そうか。気を付けていくのだぞ。」

ブラック「はい。」

アイリス「…ブラック。」

アイリスとジャガが見守る中、その場を後にブラックは歩き出した。町の中をてくてく歩きながら、監獄の中にいたとき、ずっと心の中にたまっていたものを、口から吐き出した。

ブラック「…あんなのが、本当に父親なのか!?…それは絶対に間違っている。絶対にだ!」

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しばせんし

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↑の犬の飼い主が柴戦士
いーぬは喜びゆきかけまわりー



Hyper-和食見習い小僧の20代が、遊戯王、ポケモン、その他生活の雑談を上げていくブログです。(^O^)/
何か変なところがありましたら、いつでも書いてください。迷惑コメントは容赦なくスパム

現在遊戯王でよく使うデッキは、
・スクラップ
・EMオッドアイズ魔術師
・サイフレーム
・ブラマジ
               です(^O^)/


どうしたらスクラップの良さを残し戦えるかを考えています。
スカイプデュエルも、ツイッターか、コメントで相談してもらえればできる予定。

ポケモンは、とある人の動画をきっかけにやり始めました=^_^=
ウルガモスと、カメックスを
対戦でこよなく愛して使ってます。
いつか対戦実況動画とかとってみたいなとおもっていたら取れました。
ニコニコ対戦実況動画
ダブルバトルもできるよ!!…弱いけど
だけど第六世代になってから、色々と時間が足らない様子。

再現料理も、やりたい年頃。
こう見えても現役調理師なので、
料理スキルはあるはず。
何かしてほしい再現料理がありましたら、コメントお願いします<(_ _)>

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