【遊戯王ZEXAL CN5】激怒のシャーク!咲き立ちはだかる雪月花美神! Part1 【第二話】

六子「…申し訳ありません。剣裂さん。遊馬に負けただけでなく、貴重なNo.まで奪われる失態、どう償えばよいか…。」

六子は、前にみんなで集まって話し合いをした研究所みたいな場所に立っていた。
向かい合うように机があり、剣裂、蕪木が手を顔の前に組んで眼鏡を光らせていた。
(なぜか、蕪木まで眼鏡をかけていた。)
部屋唯一の出入り口であるドアの近くには、バーナァーさんが腕を組み剣裂のほうを静かに見ていた。
部屋の中に漂う冷たい空気が、六子の肌を刺した。

蕪木「ふ!!あれだけの啖呵を切っておいて、その様はなんだ!六子!」

蕪木の口から、一切の容赦のない言葉が飛んできた。
…無理もない。No.に心を汚染されていたとはいえ、多くの暴言を吐いたのも事実。
それに遊馬の持つNo.の数と、こちらのもつNo.の数の差は歴然。
今回の戦いで自分が負けたことで、こちらのNo.はさらに減り、遊馬のNo.は更に一枚増えた。
戦力差は開いていく一方だった。

六子「…。」

何も言い返す言葉もなく、下を向いていると剣裂が静かに口を開いた。


剣裂「敗れてしまったものはしょうがない。
…それに、あのNo.の闇は重すぎた…。
これからは、遊馬達の生活に溶け込んで、その様子を随時、教えてほしい。
…それが今君にできる事だ。
今の君であれば、彼らに自然と溶けこんで接することができる。
彼らは、No.が消えたことで完全に白だと思い込んでいる。」

意外だった。
自分の犯した失態、それと遊馬達となれ合うような行動。
全てがダメなことで、叱りをうけて、その上で罰を渡されると思っていた。
しかし告げられた言葉は、遊馬達の観察と罰とは程遠いことだった。
そっと胸をなでおろした。

六子「…はい、私、頑張ります!」

剣裂「…九十九遊馬は評判通りの男で、これからより一層慎重になる必要があるだろう…。
そのために、六子の役割は重要だ。
…それに、次の手は考えている。
…バーナァーさん。」

その言葉に、ドアの前で立っていたバーナァーは組んでいた腕をほどき、こちらに歩きながら言った。

バーナァー「…探りをいれるのは得意だから任せてね。
…六子ちゃん、わたしの作戦に早速だが協力してほしい。
…遊馬君達を、このデュエル大会に参加させてくれないかな?」

そういい、バーナァーさんはたくさんのチラシが入ってるファイルを渡してきた。
それを受け取り、その中身のチラシに目を通したが、
…本当にこれが、作戦と言えるものか少し怪しく思えるものだった。

六子「…いいですけど、これで、本当にいいんですか?」

その言葉に、バーナァーは笑顔で返した。

バーナァー「ああ!君も是非参加してくれ!もちろん、全力全開の君でだ!
…それなら、遊馬のデッキの内容ぐらいは確認することができるであろう?」

最後の一言は、重く、冷たさが含まれていた。
私の全力で…遊馬のデッキの内容を探る…となると、やることは一つ。
だけどそれは、本来正当な技量でギャンブルを極めた自分にとってあまりにも辛い選択だった。
が、それを断ることができる立場ではなかった。

六子「…わかり…ましたわ…。」

蕪木「汚名返上の機会だ。せいぜい頑張るんだな!」

六子「…。」

これ見よがしに、蕪木は六子になんとも言えない言葉をぶつけてきた。
それに対して言い返せるはずもなく、ただただ下を向いて何も言わずお茶を濁した。

剣裂「…こら、蕪木、あまり六子を責めるでない。」

蕪木「…すいません。剣裂さん。」

そういい、蕪木は剣裂の言葉に素直に反応し、頭を下げた。
それを見て一つため息を漏らしたあと、剣裂はバーナァーのほうを向き言った。

剣裂「…頼みましたよ、バーナァーさん。」

その言葉にバーナァーは軽い会釈をして、六子に渡したチラシと同じものを一枚と、一枚の写真を除いた。
…その写真には、神代凌牙と、その妹が写っていた。

バーナァー「ああ。
…神代凌牙君。
前から色々と興味があったからね、喜んで見させてもらうよ。」



…夜。
だが、決して暗いわけではなかった。
空に浮かぶ満月の光のおかげで、周りを見渡すことができるくらいの明るさはあった。
そんな中辺りにはしんしんと雪が降り、それが地面を白く装飾していた。
そんな中、薄桃色の花が、まとまった数咲いていた。
雪のじゅうたんの中、一部、くりぬかれたようにその薄桃色の花は咲き誇り、その存在を優しく誇示していた。
その花たちの真ん中に、中座で座りこむ女性が一人いた。
その髪の色は足元にさく花と同じ薄桃色で、おへそのあたりまで伸びていた。
瞳は青空のように透き通っていた。
そんな彼女の目は手に握られている、足元にさく花と同じ花に向けられていた。。
しん・しんと降る雪の中、彼女とその花はとても美しく、輝いていた。
…ふと、彼女は顔をあげた。その顔は手に持たれた花のように笑っていた。
その笑顔は、一人の男性に向けて送られたものだった。

?????「バーナァーさん!」

彼女はそう、男に向けて言った。

?????「…。」

しかし、そこまでだった。
彼女は口元を抑え、倒れこんだ。
手に持った花を落とし。
男はすぐに駆け寄り彼女の体を抱きかかえた。
が、彼女の顔はみるみる生気が消えていき、白く冷たく、なった。

????「死ぬな、ザヨゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」



バーナァー「…!」

ふと、バーナァーは目を覚ました。
辺りは夕方になっていた。夕焼けが眩しかった。

バーナァー「…何昔のことを思い出しているんだ。らしくない…。」

そういい、目を横に向けた。
そこには、ベットに寝ている蒼い髪の女の子が寝ていた。
自分はこの子の診察をするために、この部屋に来ていたのだが、いつの間に昔のことを思い出していたようだ。
…なぜこのタイミングで昔のことを思い出してしまったのか。
それはけして偶然ではない。そう胸がささやくようだった。
だからこそ、剣裂君に対して自分から動くといったのだから。

バーナァー「…神代璃緒ちゃんか…。
頼んだよ、わたしのNo.。」

そういい一枚のカードを取り出し、バーナァーはその女の子にあてた。



凌牙「…朝か。」

朝。
いつも通りの、朝。
代わり映えのない朝だ。
しかし、いつからだろうか?一人で、一人っきりで起きるようになったのは。
そんなことをふと思いながら、神代凌牙は立ち上がり、ベットから抜け出た。

凌牙「…。」

鞄をもち、外に出た。
最近は学校にも顔を出すようになった。
なぜなら学校も悪くないように思えたからだ。…認めたくないが、遊馬に出会ってからだ。
…ふとその時、やけに寒さを感じた。
自分の格好を見て、納得した。

凌牙「…あ、パジャマのままか…。」

人には言えない自分の癖の一つ。
パジャマのまま外に出てしまうことがある。
今回のように、大体玄関でそのことに気付けるのだが。

璃緒『こらぁ!凌牙!何パジャマのまま外に出ようとしているの!?』

ふと、頭にそんな光景が浮かんだ。
…神代璃緒。
自分の妹。
今病院で入院しているアイツだ。
アイツがいてくれたら、そんなことを大声で言い、ドタバタしながらすぐに自分の手を引っ張って、中に引きずり込み、パジャマの着換えの世話までしようとする。
…だが、自分の手は今からだった。
…ふと、そんなことを思ったのだ。

凌牙「…着替えるか…。」

そういい、一人静かに玄関のドアを閉めた。



凌牙は一人、リビングの机に出来あいのお弁当と、ペットボトルに入った飲み物を置いて座っていた。
机は意外にも清潔が保たれており、椅子は二つ、向かい合うように置かれていた。

凌牙「…なんで弁当で酢豚なんて買ってきちまったんだ…。…いや、けどこの豚肉うまいんだよな…。」

そう誰にいうわけでもなく呟きながら、お弁当の包装をはぎ、それをビニール袋に突っ込んだ。
お弁当は、少し冷めていた。
一緒にもらった箸の包装も同じようにとり捨て、二つに割り手に持った。
そこには、自分がもっともイラッとする食べ物、
透明なのに少し赤い色がついている玉ねぎ、
そして緑でその存在を誇示するピーマンがいた。

凌牙「…これはいらないな…。」

そうい、箸で丁寧にそれらをつまみ、包装と同じようにビニール袋に入れて捨てた。

璃緒『こらぁ!凌牙!ちゃんとピーマンと玉ねぎも好き嫌いしないで食べなさい!
…あといただきますも言ってないでしょ!!』

ふと、自分の眼の前に、そんなことを言って注意してくるアイツの姿が見えた。
…気がした。
お前だって、嫌いな野菜あるくせに、人にばっかりそんな注意を言いやがって。
本当…、本当…。

凌牙「…。」

凌牙は何も言わず、そのまま進まない箸を進めた。



凌牙「…それじゃあ、学校にいってくるぜ…。」

今度こそ着替え、そして髪型もしっかりと決めた状態で鞄を持ち外に出た。
まだ外には優しい光が降りそぞき、朝を感じさせた。
しかし、凌牙の言葉に対する返事はなく、ただ時間が過ぎるだけだった。

凌牙「…。」

自分の手元には、家の鍵があった。
…あいつが、アイツが鍵を閉めてそれをもって家を出る。
そうだったなぁ。
…自分がこの家の鍵をもって施錠をして出て行くようになったのは、いつからだっただろう…。

璃緒『さぁ行きましょう!凌牙!』

なるべく素早く施錠をして、そう元気にいいながら自分の傍に寄り添って学校に通う。
そんな少し前まで当たり前だったことが、昔のことになったのは、いつからだろう?

凌牙「…。」

凌牙は考えるのをやめ、自分のバイクに乗り、ヘルメットをかぶり、走り出した。



バイクで走っていると、なぜだか不思議と気分が安らいだ。
この疾走感が、嫌なことを忘れさせてくれるようだったからか?
それは、自分にもわからない。

猫「ニャー!」

突然、道路の真ん中を猫が横ぎった。

凌牙「!!?」

凌牙はバイクを旋回させ、なんとかその猫をよけた。
…幸い、車は走っておらず、バイクもどこにもぶつからなかった。
猫もその場に静止しこちらをじっと見ていた。

凌牙「…。」

…猫。そういえば、アイツがいたら、きっとこんな感じに、嫌がるだろうな…。

璃緒『キャア!猫!猫よ凌牙!早く!早く通り抜けましょう!凌牙!』

そんなこと言いながら、自分の腕に自然と手を絡めながら足をせかすだろう…。

凌牙「…。」

そうか。
なんで自分がバイクに乗るようになったか。なんとなくわかった。
始めは、移動に便利とか、そんな理由だった気がするが、そうじゃなかった。
…あいつがいないこの道を、一人で歩くのが、たまらなく辛かったからだ。

猫「…?」

凌牙「…イラッとくるぜ。」

猫は何も知らない顔で、こちらをみてくる。
凌牙はそんな猫を抱え車道の外に戻し、一人ヘルメットを付け直しバイクを走らせた。



学校が終わったあと、最近日課となっている璃緒のお見舞いに行った。
病室には、夕焼けが差し込み暖かさと寂しさの両方を醸し出していた。
そんな部屋の中では、ベットの上で蒼い髪の女の子が、目に包帯を巻いた状態で眠っていた。
その寝顔は、笑顔とも、悲しい顔とも、とれるものだった。
そのすぐそばに見守るように、凌牙は椅子に座り彼女の左手を握っていた。

凌牙「…璃緒…。」

璃緒、お前はいつになったら、目を覚ましてくれるんだ…。
そんな彼の質問の答えが返ってくるわけでもなく、ただただ時間が過ぎていくだけであった…。

看護師「あら凌牙君!お見舞いにきてくれたのね!」

そんなことを思っていると、最早顔なじみになった璃緒の担当になっている看護婦さんが現れた。
笑顔がとても印象的な人で、自分に対してもとても優しく接してくれるいい人だ。

凌牙「…はい。
…あのすいません、あの花は…。」

最近この病室には、花が添えられている時が多い。
自分が花を持ってきたことは一度もないから、誰がもってきているかと、気になった。
…今日は、撫子の花が添えられていた。

看護婦「…今朝、極東エリアのデュエルチャンピオンと名乗る男性が、お見舞いにと置いていきましたよ。
…お知り合いですか?」

そう言い、看護婦さんは悪意のない顔と声できいてきた。

凌牙「腐れ縁です…。
…あの野郎。イラッとくるぜ。」

看護婦「順調に治療は続いていて、少しずつですけど、確実に回復しているので、安心していいって、先生言ってますよ。」

凌牙「そうですか…。」

看護婦「半年以内に、目を覚ます確率は高いって、言っています!
最初の状態から考えたら、この回復は奇跡ですよ!
最初救助された時の対処がよかったおかげで、火傷の跡も残りませんし。
…これも全て、きっとお兄さんの思いが、璃緒ちゃんに届いたんでしょうね!」

凌牙「…俺は何もあいつにしてやれていないですよ…。」

看護婦「そんなことありません!きっとこうやって毎回来て、手を重ねているお兄さんの思いは、絶対に璃緒ちゃんに通じていますよ!」

凌牙「…そうだといいのですが…。」

…あのイラッと来る野郎は、花を添えるぐらいの気遣いができるやつだった。
それに対して、俺は璃緒に、一体何がしてやれたっていうんだ…。
ただこうして、手を握っているだけの俺に…。

…俺は、どうしたらいいんだ…。



…Part2に続く
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しばせんし

Author:しばせんし
↑の犬の飼い主が柴戦士
いーぬは喜びゆきかけまわりー



Hyper-和食見習い小僧の20代が、遊戯王、ポケモン、その他生活の雑談を上げていくブログです。(^O^)/
何か変なところがありましたら、いつでも書いてください。迷惑コメントは容赦なくスパム

現在遊戯王でよく使うデッキは、
・スクラップ
・EMオッドアイズ魔術師
・サイフレーム
・ブラマジ
               です(^O^)/


どうしたらスクラップの良さを残し戦えるかを考えています。
スカイプデュエルも、ツイッターか、コメントで相談してもらえればできる予定。

ポケモンは、とある人の動画をきっかけにやり始めました=^_^=
ウルガモスと、カメックスを
対戦でこよなく愛して使ってます。
いつか対戦実況動画とかとってみたいなとおもっていたら取れました。
ニコニコ対戦実況動画
ダブルバトルもできるよ!!…弱いけど
だけど第六世代になってから、色々と時間が足らない様子。

再現料理も、やりたい年頃。
こう見えても現役調理師なので、
料理スキルはあるはず。
何かしてほしい再現料理がありましたら、コメントお願いします<(_ _)>

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