【遊戯王ZEXAL CN5】翻弄のカイト!奇怪な科学者と赤眼の粉塵竜! Part2 【第三話】

あの朝食の一件の後、フェイカーとカイトの関係は、どこかたどたどしいが、前のものを取り戻しつつあった。
どちらの心にも、前みたいな関係に戻りたいと願っているところがあったからこそ成り立ったものだった。
そんなある日、フェイカーはなぜかスフィアフィールド砲があった場所にいた。
それを追ってきたのかどうだか、カイトもその場所に現れ、背後から尋ねた。

カイト「…こんなところで何をしているんだ?父さん。」

その声でカイトの存在に気付いたフェイカーは振り返り言った。

フェイカー「…カイトか。
いや、私は悔いているのだ…。
Mr.ハートランド、彼を亡くしてしまったことを…。」

…そう、ここは『Mr.ハートランド』が亡くなった場所だった。
彼は確か、この高さからこの真下にまっさかさまに落ちて行った。
死体こそ見つからなかったが、彼の死亡は確実だろう。
フェイカーの近くには、花とお菓子が添えられていた。
カイトはフェイカーの隣まで歩み寄り言った。

カイト「…父さんが気に病むことじゃない…。
あんなコソ泥、当然の報いだ。」

フェイカー「…カイト。そんなことは言ってはいけない。」

そういいフェイカーはカイトを見た。
その表情は、優しさの中に厳しさが含まれる、父の顔だった。

カイト「…。」

フェイカー「…確かに彼は、お前の言うコソ泥なのかもしれない。
…だが、彼は私たちのために、…そりゃ、お前にはほぼ拷問な訓練をしたりもした。
彼の心に、邪な気持ちがあったとしても、彼がやった働きをバカにしてはいけない。
彼の働きがなければ、やりえなかったことも多くあるのだから。」

カイト「…。」

カイトは、そんな父の顔を表情一つ変えず聞いた。
そこまで語るとフェイカーは、はっと何か気づいたようにカイトから目線を逸らしていった。

ファイカー「…すまない。
これは私と彼の問題だった。お前にそれを押し付けるのは間違っていた…。
許してくれ。」

カイト「…いや、父さんの気持ちも考えておくよ。」

そう言い、カイトは父の隣に腰を下ろし、一緒に彼の冥福を祈った。



カイト「…機器のメンテナンスと改造?」

ある日、居間でフェイカーの口からそう告げられた時、カイトは思わず聞き返してしまった。

フェイカー「そうだ。今までこの建物の機器は、かつてバリアンとの契約を遂行するために、ハルトの力を最大限に引き出し、アストラル世界の攻撃するために使ってきた。
…だが、その必要がなくなった今、その機器を今一度調整しなおして、このハートランドシティに役立つことに使おうと思っているんだ。」

カイトは察した。
…もう、父さんは嫌なんだ。
自分の発明した、そして与えられたこの力が、何か争いの火種になることが。
もう、あんな悲劇を起こすのは…。
概ね賛成だったが、一つ疑問に思うことがあった。

カイト「…そのために、俺と父さんとオービタルだけでは人手が足りないから、外部の人間を一人、この中に入れて機器を弄るということか。」

それは一人、今迄あったこともない人間を一人、ここの機器を弄らせるということだった。

フェイカー「そうだ。彼は…信頼していい。
私の昔の研究室で、若いのに特に優秀な腕を持っていると聞いている。
名前は…『蕪木忠仁』(むつきただひと)という…らしい。」

フェイカーは歯切れ悪くそう言った。
その発言に疑問を感じ、カイトは言った。

カイト「…らしいということは、父さんはその『蕪木』という人物を知らないのか?」

フェイカー「…そうなんだ。だが、私の下で学んでいた、『間藤剣裂』という信頼できる男の、一番弟子と言っていた。
剣裂君は、非常にまじめで誠実な男だよ。だからきっとその弟子も信用できる。」

カイト「…父さんがそういうなら信じよう。」

そう言い、フェイカーを安心させようとした。
実際は、全くその男を信用していなかった。寧ろ自分が見張っていなければと思っていた。
そんな心中をフェイカーが察したのか、話してきた。

フェイカー「…お前が警戒するのは無理もない。ここの機器は一歩間違えれば非常に危険なものばかりだからな。
ましてそれを家族以外のものに弄らせるんだからな。
…だが、時間がないんだ。私の都合で申し訳ないが、早くここの器機をアストラル世界を壊すためでなく、この街の役に立つものに切り替えたいんだ。
だから、この『蕪木』君に機器を弄らせるのを許してほしい。」

そういい、フェイカーはカイトに頭を下げた。
そういう父の姿と言葉に、必死さが伝わってきた。それが、自分には、辛かった…。

カイト「…わかった。俺も力を尽くして、なるべく早く作業を終わらせよう。」

フェイカー「ありがとう。カイト。」

そういい、フェイカーは顔をあげ安堵の顔を見せた。
カイトは、これから起きることに頭を抱えながらため息を一つついた。



ハルト「オービタル、オービタル!」

オービタル「ハルト様!オービタルはここに!何かご用でしょうか?」

ハルト「今度ここに業者さんが来るってきいたけど、どんな人?」

最近はフェイカーもカイトも忙しそうに何か色々している毎日だった。
そんな日々だが、ハルトの耳にも今日業者をこの家に招いて何か打ち合わせをするというのが届いていた。
ハルトはそれが気になり、オービタルに話しかけた。
オービタルはハルトには(というかフェイカー一家の誰にも)頭が上がらないので、聞き出せると思ったからだ。
案の定オービタルはすぐに話してくれた。

オービタル「はい!…実は私めも、名前と簡単なことしかわからず…。」

ハルト「それでもいいから、教えて教えて!」

オービタル「カシコマリ!…『蕪木忠仁』(むつきただひと)、年は18歳…カイト様と同じ年でありますね。
フェイカー様が昔いらした研究室にいた『間藤剣裂』という人物の弟子であります!
…申し訳ありません…
ここまでしか私めも知らないであります…。」

そう、オービタルは申し訳なさそうに言った。

ハルト「へぇー。父さんと同じ研究室にいたんだぁ。
…てことは、その蕪木って人も、バリアン世界のことを知っているのかな?」

オービタル「さぁ…そこまで私めには…。」

そうなると自ずと『バリアン世界』のことが絡んでくると思った。
どうやらオービタルもそう思ってはいるが、確信は得れていないみたいだ。

ハルト「なんにせよ!父さんや兄さん、オービタルと仕事をするんだから、いい人だといいよね!
僕も手伝えることは手伝うよ!」

カイト「…ハルト、お前は他にやることがあるだろ?」

どこからともなく、カイトが現れそう言った。
ハルトは少し残念そうな顔をした後、強く主張した。

ハルト「兄さん!…けど、僕も兄さんたちの役に立ちたいんだ。」

カイトは驚いた表情を浮かべたが、すぐに優しいいつもの顔に戻り、ハルトと目線を合わせて両肩に手を置き言った。

カイト「ハルト…気持ちはうれしいが、お前はまだ病み上がりだ。
そんなお前に、この作業は骨が折れる。だから休んでいてくれ。」

ハルト「…兄さんがそういうなら、従うよ。」

ハルトはしぶしぶ、納得した。
そんなことを話していると、今度はフェイカーがその場に慌てているように現れた。

フェイカー「カイト、オービタル、ここにいたのか。」

カイト「父さん。」

フェイカー「蕪木君が見えた。顔を合わせて、早速打ち合わせをしよう。」



…フェイカー家の居間に、奇妙な来訪者が現れた。
深い緑色の髪をしていて、前髪の両端から黄緑色の角みたいなものが二本ずつ出ていた。
そしてなにより赤く輝く瞳が何よりも印象的だった。
そんな彼は普通の黒いスーツを纏い、自己紹介をしてきた。

蕪木「初めまして、フェイカーさん、そしてカイト、オービタル。
私が今回仕事のお手伝いをさせていただく、『蕪木忠仁』(むつきただひと)といいます。
どうかよろしくお願いします。」

非常に礼儀正しく礼をして名刺を二人と一台に差し出してきた。
みんなはそれを受け取り、彼を見た。

フェイカー「こちらこそよろしく頼むよ。君はとても優秀だと聞いている。
早速で悪いが、打ち合わせを始めようじゃないか。」

蕪木「はい。では、機器の図面と、それぞれの簡単な説明をしていただけないでしょうか?」

フェイカー「わかった。
…これが、ここの機器の図面だ。」

そういうと、フェイカーは端末を操作して、壁に大きな設計図を映した。
それは、スフィアフィールド砲が設置された場所の大きな設計図だった。
蕪木はその図をじっと見つめ、一つの言葉を漏らした。

蕪木「…随分と特殊な配置をしていますね。
…この、出力部がここに集中しているのは、やはりバリアン世界に攻撃を仕掛ける時、ある程度のエネルギーが必要だったからですか?」

蕪木が指さした場所をみて、フェイカーは渋い顔を見せた。
そんな様子を見たカイトは、けん制するように言った。

カイト「そんなこと、お前が知ってどうする?」

そう言ったカイトに対して、フェイカーはフォローするように言った。

フェイカー「いいんだカイト。
蕪木君にはある程度腹を割って説明しないと、作業が進まないのだ。
…そうだ。あれにはとても膨大なエネルギーが必要だった。
それをコントロールするために、ハルト、No.、それとバリアン世界からもらった、『スフィア・フィールド』の力が必要だった。
…だから今度は、このエネルギーをここでなく、ある程度散らして様々なことに利用していきたい。」

そういうと、フェイカーは端末を弄り、設計図の上に別の図や写真がいくつか浮かんだ。
その映像には、この施設のエネルギーを、ハートランドシティの為に色々使う案が浮かんでいた。
その映像に目を通した蕪木は、少し考えるようなしぐさをとった後言った。

蕪木「…なるほど、ですが折角ここにこれだけのエネルギーを集めたんです。
…いっそのこと、この膨大なエネルギーを集めて何か別の有益なことをしてみてはどうですか?
例えば、このエネルギーを全て別の街に提供することで利益を生み出すとか?」

蕪木のそんな言葉にフェイカーは即答えた。

フェイカー「いや、それはもういい。
あれは人の手に余るものだ。…それに、もうあのようなことはしたくないし、使いたくない。
…もし残しておいたら、何か別の悪行に利用されるかもしれない…そう思わせる力だ。
だからこそ、君の力を借りて、一刻も早く改造し、この街のためになることに使いたいのだ。」

そういうフェイカーの表情は真剣で、哀傷が漂うものがあった。
蕪木はその表情をしっかりと見た後、言った。

蕪木「…わかりました。では、そういう方針で行くことにしましょう。
今から作業表と、分担を作るので、約10分ほどお待ちください。」

そういうと、蕪木は電子端末ではなく、大きめな紙を取り出し机の上に広げた。
そしてフェイカーから端末を借り、映し出された設計図を見ながら紙の上にペンを滑らせた。
その姿は、気迫を感じるものだった。

フェイカー「…オービタル、お茶を入れてきてくれないか?」

オービタル「カシコマリ!」

オービタルにお茶を入れさせに向かわせ、フェイカーは隣に座るカイトに声をかけた。

フェイカー「…な、カイト。彼は凄いだろ?」

カイト「ああ…。」

フェイカーは少し和んだような表情でカイトに言った。
が、カイトは厳しい表情をつづけていた。
そして、書き始めてから9分と55秒たったあと、蕪木は出された少し冷めたお茶に初めて口を付けた後言った。

蕪木「できました。フェイカーさん。
私、フェイカーさん、オービタル、カイトがそれぞれこの作業表通り動けば、おおよそ4日で終わります。」

そういい、彼は手書きの設計図と作業表をフェイカーとカイトとオービタルに見せた。
その紙には非常にきれいな執筆でわかりやすく作業工程と、どこをどうするかが書かれていた。
カイトもフェイカーも、その完成度の高さに驚いた。
効率的かつ、自分たちに理解できるように全てが書かれていた。
何より、これをこれだけ短時間でまとめ切ったことに驚いた。
読み進めれば進めるほど、フェイカーの顔は明るくなっていった!

フェイカー「おおそんなに早く終わるのか!!それは助かる!!
では、作業表通り、早速作業に取り掛かろう!」

そういうや否や、フェイカーは席を立ちあがった!
が、蕪木は仮面の笑顔のような表情を浮かべ、フェイカーに言った。

蕪木「…フェイカーさんは、本当カイトと、ハルトさんのことを大事に思っていらっしゃるんですね。」

フェイカー「…蕪木君?」

蕪木「…それに自分自身の行いを酷く悔やんでいらっしゃる。…初めて会う私ですら、そういう印象を受けます。
…あなたは、本当はとても優しい方なのですね。」

最後のその言葉だけ、蕪木の気持ちがこもっているようだった。
フェイカーはその言葉を聞き、目を閉じ、下をみた。
そして目を見開き、蕪木のほうを真っ直ぐ見て言った。

フェイカー「…いや、私は偽善者だよ。私が息子たち、そして友にした罪が消えるわけではない。おそらく行先は地獄だろう。
始める時には心を鬼にして何もかも犠牲にして始めて、そして終わったらこんな惨めにその埋め合わせをしようとしている…。
…付き合わされる他の人にとっては、迷惑なだけの話だよ。」

その時のフェイカーの顔は、息子であるカイトにとって見るに堪えないものをしていた。
蕪木はそんなフェイカーから目を逸らさず、全てを受け入れるように見つめていた。

フェイカー「…いやすまないね。ちょっと変な話をしてしまった。
さて!私はこれからどこから取り掛かればいいのかな?」

蕪木「それぞれ別々の場所で別々の作業をするので、時間がもったいないので配った表に書かれている場所に行っていてください。
詳しい説明は、私がそこに行って直接話します。」

カイト「…。」

こうして、カイト、フェイカー、オービタル、そして蕪木の4人は、スフィアフィールド砲を解体するために、動き出した。



…Part3に続く
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読ませて頂きました!

こんばんは、いそみです。
先日はコメントありがとうございましたm(_ _)m

さて...遅ればせながら『CN5』カイト編からですが読ませて頂きました!
Part1のフェイカー様に不意打ち喰らってヤバかったですけど
ああでもこういうお話は大好きですッ!!
Part2まで読ませて頂きましたが、いやこれは続きが気になります〜
この後一体どうなるんだ答えろルドガーッ!?(°▽°)っっ

楽しく読ませて頂いたお礼と言っては何ですが、
自分トコのPIXIVに絵を一枚載せました。
もしよろしければどうぞもらってやってください。
(PIXIVへは当ブログから行けるようになっております。)

ではでは、続き楽しみにしています!

Re: 読ませて頂きました!

>いそみさん

返信遅れて申し訳ありませんm(__)m色々ありまして…。

絵、拝見させていただきました。
めっちゃカッコイイでした!
ありがとうございました!!

それは俺が答えるぜ!

後で記事としてお礼をあげさせていただきますm(__)m
プロフィール

しばせんし

Author:しばせんし
↑の犬の飼い主が柴戦士
いーぬは喜びゆきかけまわりー



Hyper-和食見習い小僧の20代が、遊戯王、ポケモン、その他生活の雑談を上げていくブログです。(^O^)/
何か変なところがありましたら、いつでも書いてください。迷惑コメントは容赦なくスパム

現在遊戯王でよく使うデッキは、
・スクラップ
・EMオッドアイズ魔術師
・サイフレーム
・ブラマジ
               です(^O^)/


どうしたらスクラップの良さを残し戦えるかを考えています。
スカイプデュエルも、ツイッターか、コメントで相談してもらえればできる予定。

ポケモンは、とある人の動画をきっかけにやり始めました=^_^=
ウルガモスと、カメックスを
対戦でこよなく愛して使ってます。
いつか対戦実況動画とかとってみたいなとおもっていたら取れました。
ニコニコ対戦実況動画
ダブルバトルもできるよ!!…弱いけど
だけど第六世代になってから、色々と時間が足らない様子。

再現料理も、やりたい年頃。
こう見えても現役調理師なので、
料理スキルはあるはず。
何かしてほしい再現料理がありましたら、コメントお願いします<(_ _)>

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