【遊戯王ZEXAL CN5】穢された兄妹の絆…。 操られた青い鳥の奇跡 Part1 【第四話】

遊馬と小鳥、そして六子ともう一人男の人が集中治療室の前のベンチに腰を掛け、座っていた。
その重々しい雰囲気は、前の時間にみんなで楽しくお泊り会をしていたことなど、簡単に吹き飛ばしてしまうものだった。
その治療室前の薄暗い廊下の雰囲気そのものが、今の三人の気持ちをそのまま表しているようだった…。

六子「小夜ちゃん…小夜ちゃん…!」

小鳥「六子ちゃん…。」

遊馬「…。」

六子は両手を組み、顔を下に向け、悲痛そうな表情で小夜の無事を祈っていた。
小鳥はそれを隣で肩を優しく撫でながら、自分も心配そうに見守っていた。
そんな様子を、遊馬とアストラルはただ見ていることしかできなかった…。

アストラル『…遊馬。』

遊馬「…なんだよ、アストラル、こんな時に、後にしてくれないか。」

アストラル『…わかった。』

そういうと、アストラルは口と目を閉じ気配を消した。

蕪木「…。」

…その時だった。
集中治療室の扉が開き、そこから手術着をきたバーナァーが深刻な顔であられた。
その瞬間座っていた六子は立ち上がり、すぐに言葉を発した。

六子「!!バーナァーさん!
小夜ちゃんは!
…小夜ちゃんは大丈夫なんでしょうか!?」

その言葉に、バーナァーはため息を一つ吐きだし答えた。

バーナァー「一応はね。今は落ち着きを取り戻したよ。
…だけど未だに油断はできない状態だよ。
もうしばらく剣裂君と一緒にこもらせてもらおうよ。」

六子「お願いします、バーナァーさん…。」

そう言うと、再びバーナァーは集中治療室に入り、扉を閉めた。
…そして廊下には再び、静寂が舞い戻った。
誰もが暗くなり、ただただ黙っていた。
…そんな雰囲気を破ったのは、遊馬達が来る前からずっとベンチに座っていた、一人の男だった。

蕪木「…今晩は。」

遊馬「…お、おう。こんばんは。」

蕪木「俺は蕪木。小夜ちゃんの知りあいだ。
こんな夜遅くにここにいてくれてありがとう。
…君たちは、六子や小夜ちゃんの知りあいかい?」

遊馬の隣に座っていた男は、そういい遊馬に声をかけてきた。
遊馬が返事に困っていると、その隣に座る小鳥が返事をした。

小鳥「はい、私は小鳥、彼は遊馬といいます。
わたし達は六子ちゃんと小夜ちゃんと一緒にお泊り会をしていたんですが、そこで小夜ちゃんの具合が悪くなって…。」

蕪木「…そうだったのか。色々とありがとうね。
小鳥ちゃんに遊馬君、以降お見知りおきを。
ほら、これでも食べなさい。」

そういい、その男は自分のポケットから何かを取り出し三人に差し出した。
…小さな茶色の四角の塊で、セロファンに包まれている…キャラメルだった!

遊馬「キャラメル…?」

蕪木「ああ、元気が出る、魔法のお菓子…らしい。
どこかの厨二が言っていた。まぁ食べなさい。その言葉は嘘じゃないから。…ほら、六子も。」

小鳥「いただきます。…はい、六子ちゃん。」

小鳥はキャラメルを受け取り、それを六子に二つ渡した。
六子はそれを虚ろな目で見つめた後、受け取り蕪木を見た。

六子「…ありがとうですわ。蕪木。」

蕪木「いえいえ。」

蕪木は自然な表情でそう言った。
遊馬も蕪木の手からキャラメルを受け取った。

遊馬「いただくぜ。」

みんながキャラメルを受け取り、そのセロファンをとり口に含んだ。
…優しい少し甘すぎる甘さが口の中に広がった。その強い甘さが、今の憂鬱な気分を紛らわすのにはちょうどよかった。
どこか心が落ち着くような、そんな不思議な感覚に陥り、先ほど蕪木が言った言葉を思い出した。

六子「…美味しい。」

小鳥「うん、美味しいね。六子ちゃん。」

六子「…。」

一瞬笑顔を浮かべたような六子だったが、すぐにまた暗い顔に戻った。
…小鳥は折角温まった空気を冷まさぬよう、声をかけた。

小鳥「…そういえば、蕪木さんと六子ちゃんはお知り合いなの?」

六子はぎこちない表情を浮かべ、小鳥のほうを見ていった。

六子「…え、えぇ。知り合いですわ。」

蕪木「…と言っても、六子と私が知り合うきっかけを与えてくれたのは、小夜ちゃんなんだけどね。」

そうさらっと蕪木が言った言葉に、六子はとても驚いたような反応をした。

六子「!?蕪木さん!?」

遊馬「…そういえば、俺達小夜の事知っているようで何も知らないよな…。蕪木、お前小夜の知り合いなんだろ?
よかったら俺たちに小夜の事教えてくれないか?」

小鳥「ちょっと遊馬!呼び捨てなんて蕪木さんに失礼でしょ!」

いきなり先ほど知り合った人を呼び捨てでいう遊馬に、小鳥は叱責した。
が、蕪木は手をちょいちょいふり、それを気にも留めないように言った。

蕪木「いいんだよ、小鳥ちゃん。遊馬君が呼びやすいように呼んでくれれば。
俺はあまり気にしないからね。
そうだね…ただ待っているだけでは、君たちも退屈だろう。
六子もいることだし、少し位彼女について話でもしようか。」

六子「で、でも蕪木!?」

やはり六子は蕪木が何か話そうとした瞬間、驚いた表情を浮かべ蕪木を見た。
が、蕪木は落ち着いた表情で六子を見て言った。

蕪木「いいんだよ六子ちゃん。…俺はね、逆に思うんだ。
彼らにはこのことを知る権利があるって。」

そういい蕪木は、小鳥と遊馬の顔を交互に見た。
何を話しているのかわからず、遊馬と小鳥は顔を合わせキョトンとした。
六子は少し顔を苦め、目を閉じ了承した。

六子「…。」

そして蕪木は、小夜について語りだした。

蕪木「…さて、どこから話そうか…。
そうだね、話すとなるとやはり小夜ちゃんの体のことについてから話さないといけないだろうなぁ。」

遊馬「小夜の…体!?」

蕪木は視線を治療室にいる小夜に向け語った。

蕪木「…『間藤小夜』(まとうさよ)…。
つまり小夜ちゃんは、生まれつき、体がとても弱い子供だった。
その上両親に先立たれ、彼女の世話は兄である『間藤剣裂』(まとうけんさき)さんに任されることになった。
剣裂さんはそりゃ小夜ちゃんを大切に、そして可愛がって育ててきた。
そのかいあって、小夜ちゃんと剣裂さんはいつだれが見てもとても仲の良い兄妹だった。
…だが、最初にも言ったように、彼女の体はとても弱く、いつも病気がちだった。
いつも入退院を繰り返し、学校にまともに通うこともかなわなかった。
…彼女は本来、小学6年生だ。
だが君たちも彼女と接していてわかっていただろうが、とても幼い印象を受けるだろう?」

小鳥「それは…。」

遊馬「…。」

…事実だった。
彼女の振る舞いは、少女の行動そのものだった。
どちらかというと、あれは幼稚園児のそれに近いものだった。
…だが遊馬と小鳥はそれが苦痛に感じたことは、一度もなかった。彼女自身の笑顔と、何事も楽しむ姿勢が、そう思わせていたのだろう。

蕪木「本来、小学6年生と言ったら、もっと大人びようとしている年頃なんだ。
あそこまで子供っぽい子はいない。
だけど彼女は、そんな世間の感覚とは違う日常を過ごしているから、そこはずれている。
…だが、それは恥じる事じゃない。
それに、彼女自身勉強という面で考えれば、とても頭は良い方だからね。
ここで重要なのは、彼女には同世代の友達と言える人が、できなかったことだ。
みんなは学校にいるのに、自分は病院の入退院を繰り返す毎日。
つい数か月前までは、そんな日々が続いていた…。」

遊馬「数か月前までって…じゃあここ数か月はどんな生活をしていたんだよ?」

その遊馬の一言に、蕪木の表情は重いものになり、そしてその口から更に重い言葉がつげられた。

蕪木「…ここ数か月になり、彼女はより重い病気にかかった。
…パッと見は、そんなに変化はない。
だが、今回みたいに、ある日突然高熱を発し、意識を失ったりして倒れたりする。
最初のうちはそうでもないのだが、段々と頻度が多くなり、体の自由が徐々に効かなくなり、やがて死んでしまう。そんな病気だ。
…悔しいことに、現代医学では治せない病気だ。君たちの身近な人物で言えば、天城ハルト君も、同じ病気だった。」

六子「…。」

小鳥「そんな…!!」

遊馬「嘘だろ!?あのいつも元気いっぱいな小夜が、そんな病気なんて嘘だろ!?」

六子は黙って下を向いていた。
小鳥は、顔を青ざめ、口元に両手をあてていた。
遊馬は、顔を赤くし大きな口でその事実に抗議をした。

蕪木「…残念で、本当に悔しいことだが、事実だ。
…だからこそ、そんな病気にかかったと分かったときから、その病気について詳しい外国の医師、『ダディ・バーナー』さんが、彼女をつきっきりで治療して、その病状を遅らせるように努力している…。
…『バーナァー』さんは君たちも知っているね?
君たちが海辺のデュエル大会で一緒に食事をとった人だ。
…彼も、最愛の人を昔、小夜ちゃんのかかっている病気と同じもので亡くしている…。」

遊馬「なんだって!?」

蕪木「だからこそ、彼は必死になって今の今までその病気の治療手段を模索してきた…。
もう同じ苦しみ悲しみが起きてほしくないという一心で…。
その成果の集大成で、小夜ちゃんを治療している。
だからこそ、今まで小夜ちゃんがあんなに元気でいられたんだ…。」

…今まで自分たちと元気に、笑顔で遊び続けていた小夜。
そんな彼女にそんな秘密があったなんて…思いもしなかった。
その悲しい事実をただ二人は噛みしめた。

小鳥「そうだったんですか…。」

遊馬「…小夜…。」

蕪木「…ここにいる
剣裂さん、
バーナァーさん、
六子、
俺蕪木、
みんな小夜ちゃんを思う気持ちは一緒だ。
勿論君たちもね。
誰もが小夜ちゃんに元気になってほしい。そして笑っていてほしい。そう願っている。」

そういう蕪木の表情には熱意が、いや願いが込められているように思えた。
そんな蕪木を見てか、六子は重い口を開き、絞り出すように声を出した。

六子「…私、私は、小夜ちゃんと半年前ぐらいに出会いましたわ。」

小鳥「…六子ちゃん?」

六子「私も、遊馬とデュエルしたときに話した通り、友達を作るのが下手で一人ぼっちでしたわ。
…そんな時、小夜ちゃんと出会いましたの。
学校を抜け出していった先の公園、…本当、その時はどこでもよかったのですわ。
偶然たどり着いたのが公園だっただけで。
そこに小夜ちゃんはいて、お花畑で一人遊んでいましたの。
…小夜ちゃんは今より顔色も体つきもあまりすぐれていませんでしたけど、そこで一人遊ぶ姿を見て、私は自然と足が向かいましたわ…。」




…六子は、一人公園にいた。
当てもなく、ただただ歩いた先にあったのが公園というだけで、ここに来たくて来たわけではなかった。
だから、ふらりと足が近寄った場所、
公園の人が入っていいお花畑で、一人遊んでいる可愛らしげな少女に声をかけられた時、少し驚いてしまった。

小夜「あ!こんにちは!」

六子「!!?
こ、こんにちは…ですわ。」

そうぎこちない返事をすると、その女の子はお花畑から出てきて六子に走り寄ってきた。
そしてにまぁっと笑顔を浮かべると質問を投げかけてきた。

小夜「わたしさよ!『まとうさよ』っていうの!おねーちゃん、おなまえは?」

さよ…とてもかわいらしい名前。お世辞ではなく、素直にそう思った。

六子「私は、『六子』、『一六子』(はじめむつこ)といいますわ。」

小夜「はじめ…むつこ。すてきなおなまえだね!ひとり?」

そう言い小夜は首を傾げ訪ねてきた。
…そう、一人だ。
自分には、友達がいず、誰とも仲良くすることができず、ただ一人でここにいる。
改めてそのことを認識した。

六子「…!
…え、えぇ、私、一人ですの。」

そう言うと、その少女は少し悲しそうな表情を浮かべた後、すぐに笑顔で六子に言った。

小夜「…。
じゃあ、さよといっしょだね!じゃあ、ふたりであそぼう!
むつこおねーちゃん!!
そしたらわたしたち、ひとりじゃないよ!」

そういい、小夜は六子の手を自然と握り、笑った。
その笑顔は、とても眩しかった。
…この子はどうして、こんな惨めな私にこんなに笑いかけてくれるの?
そう思ったが、今はそれが悪くなかった。この笑顔に甘えよう。甘えて自分も笑おう。
そう思える笑顔だった。

六子「!!?
…。
…ええ、そうですわね。お願いしましょうかしら。」

その一言に、小夜の笑顔はより一層輝きを増した!
小夜は六子の手を嬉しそうにぶんぶんと振り回し目を輝かせながら尋ねた。

小夜「なにしてあそぶ!?おままごと!?おはなつみ!?」

六子は考えた。
…その時、丁度自分の手元にカメラと、衣装があることを思い出した!

六子「そうですわねぇ…撮影ごっごとかどうでしょうか?」

小夜「いっぱいしゃしんとってくれるの!?やったー!」

そういい小夜は全身でその嬉しさを表した!そんな彼女を見ていると自分まで元気になっていくようだった!

六子「今日はそうですわね…この黒いドレスとかきてみますか?」

小夜「うん!きるきるー!」

そういい、自分が偶然持っていた黒いドレスを取り出して小夜の体に当てた。
少し大きいが、写真を撮る分には申し分なさそうだ。
…不思議だった。
この子の笑顔を見ていると、自分も笑顔になる。楽しくなる!
そして、一人じゃない!そんな嬉しさをかみしめながら、六子はカメラを準備した。



…Part2に続く
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しばせんし

Author:しばせんし
↑の犬の飼い主が柴戦士
いーぬは喜びゆきかけまわりー



Hyper-和食見習い小僧の20代が、遊戯王、ポケモン、その他生活の雑談を上げていくブログです。(^O^)/
何か変なところがありましたら、いつでも書いてください。迷惑コメントは容赦なくスパム

現在遊戯王でよく使うデッキは、
・スクラップ
・EMオッドアイズ魔術師
・サイフレーム
・ブラマジ
               です(^O^)/


どうしたらスクラップの良さを残し戦えるかを考えています。
スカイプデュエルも、ツイッターか、コメントで相談してもらえればできる予定。

ポケモンは、とある人の動画をきっかけにやり始めました=^_^=
ウルガモスと、カメックスを
対戦でこよなく愛して使ってます。
いつか対戦実況動画とかとってみたいなとおもっていたら取れました。
ニコニコ対戦実況動画
ダブルバトルもできるよ!!…弱いけど
だけど第六世代になってから、色々と時間が足らない様子。

再現料理も、やりたい年頃。
こう見えても現役調理師なので、
料理スキルはあるはず。
何かしてほしい再現料理がありましたら、コメントお願いします<(_ _)>

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