【遊戯王ZEXAL CN5】エピローグ 【終わり】

…遊馬とアストラルは、バードパークにいた。
バードパークは、元に戻っていた。
建物は元通りになり、木々も、そして鳥たちも前と同じようにいた。
人々も前のように楽しそうにそこでの時間を過ごしていた。
遊馬は前にみんなで食事を囲んだ場所に腰かけ、アストラルを見ていった。

遊馬「…なぁアストラル…。」

アストラル『なんだ、遊馬。』

遊馬「…なんでフォーチュンチュンが最後、あんな奇跡みたいなことが起こせたと思う?」


フォーチュンチュンが、空に飛び、優しい青白い光で周りを満たした後、奇跡が起きたのだ。
バリアンが破壊した場所は、全て元通り、寧ろ何事もなかったかのように修復されていた。
剣裂の命は吹き替えし、多少傷や疲労は残っていたものの、今は完全に元に戻った。
それだけじゃない。
剣裂や、小夜、そして六子までもが、今回起きたバリアンの襲撃や、No.強奪計画そのものを、忘れていた。
小夜は、昔から病弱だったが、このハートランドシティに引っ越してきて、名医バーナァー師に治療してもらってから、元気になったということになっていた。
六子も、この街に引っ越してきて、前に拾ったNo.が暴走したところを、俺やアストラル、そして小鳥に助けられたってことになっていた。
そしてその三人と俺たちは、敵同士ではなくこの街にきてからずっと仲が良かったということになっていた。
ただし、このことが終わった後、いくらフォーチュンチュンの姿を探しても見つからず、アストラルもNo.としての力を全く感じることができなくなったらしい。
…今もそんな力の抜けたフォーチュンチュンは、小夜の手元にあった。


アストラル『…わからない。だが、私には、あのNo.は、泣いていたように見えた。』

遊馬「…いつだっけ?『Noは人の心を映す鏡』みたいな話をしたのを覚えているか?」
…俺は思うんだ。…『ミッシング・ソード』が、剣裂の心の強さを表したNoなら、
『フォーチュンチュン』は、小夜の優しさを表したNoなんだと思う。
…あのNo.は小夜を守る幸運の青い鳥じゃなくて、小夜自身だったって言っても、間違いじゃない気がするんだ。
小夜は、アイツは他の人には優しさや笑顔を振りまくけど、自分自身にそれをみせるところを、俺はみなかった。
だから、そんなアイツが自分自身に向けることのできる優しさとして、あのNoが形になったんじゃないかな?
…だから、あのNoはいつもアイツの周りにいて、アイツを守るように行動していた。
結果的に小夜は、自分自身の優しさにずっと助けてもらっていたんだよ!」

アストラル『…。』

遊馬「そんなさ、自分自身の優しさの結晶であるNoがさ、自分の兄貴が倒れる瞬間なんか見ちまったら、そりゃ全ての力を使ってでも、助けたくなるよな!
…剣裂が小夜のためにやってきたようにさ…。」

アストラル『…Noは私の記憶。それと同時に、わからないことが多い存在だ。
…だが君の今回の考察を、私は支持したい。』

遊馬「…俺、思うんだ…。今回Noを使った奴ら、
六子、バーナァー、蕪木、小夜、剣裂。
みんな悪い奴らじゃない!
蕪木やバーナァーの今までの話も聞いて思ったんだけど、
それぞれが抱えていた思いが、形になったんだと思う。
六子のクレイジー・ボックスは、心の闇が。
バーナァーのクィーン・オブ・ナイツは、昔の未練からの優しさが。
蕪木のトレンスラグーンは、自分自身の自信と劣等感が。
小夜のフォーチュンチュンは、優しさが。
そして剣裂のミッシング・ソードは、心の強さが。
…だから、だからさ、
お前と俺が最初にあったとき、お前が俺に渡してくれた、
このホープ、これが、お前なんだなって。
お前自身の、心の輝きなんだって、思うんだ!」


アストラル『…遊馬。』

小夜「ゆーま!こんなところにいた!!」

その時、遊馬の背後から小夜が元気にとびついてきた!
その顔は笑顔でいっぱいになっており、見ているこっちまで貰い笑いをしそうになるものだった。

遊馬「っておい小夜!何するんだよ!」

小夜「ゆーまどこいるんだろうなぁっておもってさがしていたら、みつけたからとびついちゃった!」

そう言いなんの邪悪もない笑顔で、小夜は嬉しそうに言った。

遊馬「はは!小夜は本当元気だよなぁ!」

小夜「うん!さよはげんきだよ!
ありがとう!ゆうま!」

遊馬「…ああ!」

小夜「これから剣裂お兄さんたちといっしょにでゅえるめしたべるんだ!
ゆうまも、アストラルおにいちゃんもいっしょにたべよう!」

アストラル『…申し訳ないが、小夜、私はここに残るよ。』

小夜「そう…、わかった!じゃあゆーまいこう!
いっしょにたべたくなったら、きてね!」

遊馬「ああ、じゃあなアストラル!ちょっとご馳走になってくるぜ!」

アストラル『ああ…。
…一緒に食事か…。』

そういい、遊馬と小夜は手をつなぎ、その場を後にした。
アストラルはああいった手前、そこに一人で残った。
アストラルは、ふとさっき遊馬から聞いた話を思い出し噛みしめ、そして、青い空を見た。
…そこには一羽の鳥が、空に飛び立つ姿があった。
…わからないが、その姿が、無性に美しく見えた。




…それからしばらく日がたち、小夜、剣裂、バーナァー、蕪木達との別れの日が来た。
皆それぞれの理由で、このハートランドシティを去り、新たな土地へと旅立つ。
それを送るため、遊馬、小鳥、凌牙、カイト、そしてその仲間たちは駅に集合し、最後の別れの言葉を交わしていた。

…遊馬達は、剣裂と、小夜、六子の前にいた。
剣裂は普段着ている白衣の上に上着を羽織り、小夜はいつも着ている簡易的なドレスだ。
六子は、白いワンピースを着て手荷物を持ち、その目を潤していた。

剣裂「みなさん、お見送りに来ていただけるなんて、本当ありがとうございます。」

小夜「…。」

剣裂は小夜の頭をなでながら丁寧に、そして本当に心の底から感謝するように言った。
…小夜は皆との別れが惜しいのか、ふてくされた顔で剣裂の上着を両手でぎゅっと掴んでいた。

遊馬「いいってことよ!」

小鳥「小夜ちゃんには、いっぱい思い出もらったしね!」

鉄男「なんだか寂しくなるな。」

委員長「とどのつまり、いつでも連絡くださいね!」

徳之助「また何時でも遊びに来ていいウラ!」

キャット「ネコちゃんたちも待っているにゃん!」

六子「みなさん、本当にありがとうございます。
皆さんのおかげで、友達を作るのが下手な私にも、皆さんみたいな素敵な友達ができました。
本当に、本当に感謝です。」

小鳥「六子ちゃんは、みんなと話すのが苦手だっただけだもん!
とっても素敵で魅力にあふれた人だもん!」

そう小鳥は、一人の友達として心の底から思っている言葉を素直に口にした。
その言葉に六子は笑顔を浮かべ言った。

六子「ありがとうですわ。小鳥。
私は、貴方のような素敵な女性の友達に会えたことそのものが、人生の宝です。
…最後ですので、お二人にこちらをお渡ししますわ。」

そういい六子は自分のポシェットを漁り、そこから二枚の写真を取り出し、遊馬と小鳥に渡した。

小鳥「…これって!ふふふ!」

遊馬「あ!あの時の写真じゃねーか!
…。」

それは、遊馬と小鳥、小夜とアストラルで一緒に撮った写真だった。
見れば見るほど、自分の間抜けな顔が目につくようなものだった。
…だが、その写真には、青い鳥の姿はなかった。…アストラルも、それは同じだったようだ。

六子「私にとって、お二人との唯一の写真ですわ。
私も大事にしますから、大事にしてくださいませ。」

小鳥「うん!絶対大事にする!
私、六子ちゃんみたいな友達ができて、本当に嬉しかった!またいつか絶対会おうね!」

六子「小鳥!私も、小鳥みたいな素敵な友達ができて、本当嬉しいですわ!また会いましょう!」

小鳥「ええ!絶対だからね!」

そんな様子を小鳥のすぐそばで見ていた遊馬は、本当に嬉しくなった!
六子は、友達を作ることができなくて、嘆きながらあのNo.を使っていた。
それが今、こんなにも別れを惜しむことのできる友ができたことに。
…その時、自分の肩を叩く感覚があったので後ろを振り向くと、そこには剣裂が笑顔でいた。

剣裂「…遊馬君、ちょっといいかな?
小夜、暫くみんなと話して待っていてくれないか?」

小夜「はい!剣裂お兄さん!」

そういうと、小夜は小鳥と六子が話している輪の中に自分から飛び込み、話に加わった。
剣裂は、そのことを確認した後、懐から一枚のカードを取り出し、遊馬に差し出し言った。

剣裂「…遊馬、君はNoというカードを集めているんだろう?
…これを、君に渡しておこう。私のもっているNo.
『ミッシング・ソード』だ。」

そういい、剣裂は自分のNo.を遊馬に差し出した。
遊馬は驚きながらもそれを受け取り、そして聞いた。

遊馬「…いいのか?本当に?」

剣裂「ああ…。私にはこれは必要ない。過ぎた力だ。
私が持っていたとしても、なにも人々の役に立たせることができない。
だったら、アストラル世界の使者が常にそばにいる、君が持っているべきだ。」

それは違うぜ、剣裂。
お前は覚えていないかもしれないが、このカードでお前はバリアンに戦い、勝ったんだぜ。
小夜を救うことに成功したんだぜ。
…そう遊馬は言いたかったが、いうことはできなかった。
だからこそ、別の言葉で剣裂に思いを伝えた。

遊馬「…ありがとう。大切に持たせてもらうぜ。」

剣裂「ああ、頼んだよ。」

小夜「あー!お兄さん!そのカードゆーまにあげちゃうの!?」

気が付くと、小夜は剣裂の肩によじ登り遊馬がカードを渡す様子を見ていた!
…困った子だといいたそうな表情を剣裂は浮かべたが、すぐに小夜を自分の肩にちゃんと乗せ、優しい顔で言った。

剣裂「ああ。あげちゃうんだ。」

小夜「じゃあねー!小夜もゆーまにプレゼント!
はい!わたしのこーうんのおまもり!あおいとりだよ!」

そういい、小夜も自分のポケットから一枚のカードを取り出し、遊馬に差し出した。
…そのカードは、紛れもないNo.、『フォーチュンチュン』だ。

遊馬「!?小夜、このカードはお前が持っているべきだ!」

小夜「いいの!わたしがゆーまにあげたいっておもったから、あげるの!
…あのアストラルおにーちゃんに、おまもりっていってみせてあげてね!」

そんなことを言い、花のような笑顔でこっちを見る小夜を見て、遊馬はそのカードを大事に受け取り、お礼を言った。

遊馬「…ありがとう小夜。大切に持たせてもらうぜ。」

小夜「うん!…ゆーまやことりおねーちゃんたちとはなればなれになっちゃうのはさみしいけど、もっともっとげんきになったら、きっとあいにいくからね!
それまで、わたしもゆーまからもらったこのおまもり、たいせつにしておくね!」

そういい小夜は自分の首から下げいる、遊馬からもらった鳥の首下げを見せた。

遊馬「おう!約束だからな!」

小夜「うん!やくそくやくそく!」

そういい、二人は指切りをした。
その様子を微笑みながら剣裂はみていた。

遊馬「あ、あとこれも持って行けよ。」

そう言い遊馬は、古笹に包まれた固まりを小夜に渡した。

小夜「…これは?
…!?
もしかして!!」

遊馬「ああ!デュエル飯だ!お前好きだったろ!?だからやるよ!
電車の中で、食べてくれ!」

小夜「ありがとうゆーま!凄く嬉しいよ!」

遊馬「そう言ってもらえると、俺も嬉しいぜ!」

そこで剣裂は小夜を地面に優しくおろした後言った。

剣裂「…小夜の病気が、名医バーナァーさんと、この街のおかげで治ったとはいえ、まだまだ油断できない。
もっと施設が整った環境で、完全に治ったら今一度君たちに会いにこの街に訪れよう。
その時は、またあのバードパークで会おう。」

遊馬「ああ!…あの、剣裂は、これからどんな仕事するんだ?」

…ふと、遊馬は気になったことを聞いて見た。
剣裂の研究は、小夜の病気を治すためというものが、根本にあった。
だがそれが解決した今、彼は一体何をめざし何を極めようとするのかを。
その言葉に、少し驚いた表情を浮かべた後、剣裂は笑いながら言った。

剣裂「…私か?…幸せの青い鳥について、研究していこうと思っている。」

遊馬「なんだからしいな。絶対また会おうぜ!今度会うときは、剣裂みたいに俺ももっと大きく強くなってるからさ!」

剣裂「ふふ、頼もしいな。私は大きくもないし、強くもないぞ?
…だがそう言ってくれるのは嬉しいね。また会おう。九十九遊馬。」

遊馬「ああ!」

そう言い、二人はしっかりとお互いの右手を重ね合わせ、握り合った。



バーナァー「…凌牙君が見送りに来てくれるなんて、嬉しいなぁ。」

凌牙「…このカードをもらっちゃなぁ…。」

そう言う凌牙の手には、No.『雪月花美神』が握られていた。
バーナァーはふっと笑い言った。

バーナァー「この街の患者のNoによる治療は終わった。
君の璃緒ちゃんもね。あとは、本人たちの治癒力に任せるしかない。
…心配しないでくれ!君たちの街には私以外にも優秀な医者はたくさんいる。
それに璃緒ちゃんは、いつか目覚める!
今まで寝ていたかのように、突然元気に起き上ってくれるさ!
…あとは君が応援してあげてくれ。」

凌牙「…ってことは、このNoはもう遊馬に渡した方がいいってことか…。」

バーナァー「…ああ、そうしてくれ。彼の相棒アストラルはNoを正しく使うことができる。
…No.は人の心を映す鏡。…そうだと私も思う。
君のNo.『シャーク・ドレイク』は、強さの裏に脆さも感じる。…それに、何かしらの闇をはらんでいる気がする…。
それだけは気を付けてくれ。困ったときは、いつでも相談してくれ。
いつでも相手になるからね。」

凌牙「ああ。」

凌牙は、空返事で返しながらも、そんな言葉が嬉しかった。
…そして、そう言ってくれる大人が傍からいなくなることを、嘆いた。



蕪木「…本当に、お前たちには迷惑をかけたな。
だが、安心しろ。スフィアフィールド砲やその他もろもろは完全に機能を停止し、解体した。
もう二度と使うことはできない。
…そして設計図のデータは全て消去した。もう二度と作ることはできない。
ハルト君も全くの健康体だ。同じ病気が再発することもない。
…あとあと、オービタルのメモリーを弄って、すまなかった。
本当に、すまないと思っている。ああしないと、お前とデュエルして対バリアンのデータを回収できなかった。」

そう言いながら、一つ謝るごとにどんどんお辞儀を深くしながら、蕪木はカイトに言った。
その言葉にカイトの隣にいるオービタルは怒りの声をあげながら言った。

オービタル「全くでありますよ!どうしてくれましょうカイト様…ってエエエカイト様!?」

気が付くと、カイトも蕪木と同じくらいの深さのお辞儀をしていた。

カイト「そうか、すまない…そして、ありがとう。
父さんの願いをかなえてくれて。カイトの事も見てくれて、すまなかった。」

蕪木はカイトがお辞儀をしていることに気づき、顔を真っ赤にしながら、少し嬉しそうに言った。

蕪木「…べ、別に、勘違いするなよ!お前にこれだけは伝えておかないとって思っただけだからな!
あ、あとこれもお前に渡しておく!俺にはもう必要ないものだからな!」

そういい蕪木はぶっきらぼうにカイトに向かって、『トレスラグーン』を差し出した。
カイトはそれを微笑しながら丁寧に受け取った。

カイト「…『トレスラグーン』。ありがとう。受け取らせてもらう。」

蕪木「…あと、いままで誰にも言ったことがない俺の秘密なんだがな、」

カイト「?」

そう言う蕪木は、本当に今まで自分が黙っていた重要な秘密を言うようなそぶりで、カイトに向き合って、改まった声で言った。

蕪木「俺がたまに『閃光の隻眼』(シャイニング・レッドアイ)っていうだろ?
…実はあれは、お前のフォトンモードと違って、ただ生まれつき目が赤いだけなんだ。
特に特殊能力があるわけじゃないんだ。」

カイト「知っている。」

蕪木「へ?」

カイト「知っている。というか、みんなお前の周りにいる人間はそんなこと知っていると思うぞ。それにそもそも、『隻眼』は片目という意味で、別に目が赤いことを言うわけではないぞ?」

カイトの超真面目な返答に、今度は逆の意味で蕪木の顔は赤くなり、暴走したようにカイトを指さし言った。

蕪木「!?ななななななななにを言うんだ貴様!!
やっぱり貴様は嫌いだ!大っ嫌いだ!
もう二度と俺の前に姿を現すな!
銀河眼の餌にでもなっちまえ!バーカ!」


カイト「馬鹿は貴様だ。」

蕪木「己カイトおおおおおおおおおおおおおお!!!」

カイト「ふ、ふふふふ、ハハハハハハハ!!」

そんな蕪木とのやり取りをしていたカイトは、気が付いたら、笑っていた。
心の底から、腹の底から、自然な笑顔で、笑っていた。
そんな清々しい笑い声と顔を見てしまった蕪木も、つい一緒に笑ってしまった。

蕪木「…ハ、
…ハハ、ハハハハハハハハハハ!

ではな!俺は竜について研究を続ける!
今度は東洋にでも行ってみようと思っている!面白い竜の伝説を見つけたからな!
確信が持てたら、お前にも連絡してやるよ!」

カイト「そうか、期待しないで待っているぞ。」

蕪木「…それと本当に最後。
一つ言わせてくれ。」

カイト「…なんだ。」

そこまで言うと、蕪木は今度こそ真面目な顔と声で、一人の科学者として言った。

蕪木「『銀河眼』は、普通の竜とは違う。俺の読みだと、月が、月が何かしら大きくかかわっているはずだ。…まぁ、そのあたりも調べておいてやるよ。ただ、月じゃなぁ…行きようがないんだよなぁ…。お前の家ぐらい金持ちで、技術力があれば、ロケットの一つぐらい作れるだろうに…チラ。
まぁ、期待しないで待っていてくれ。
それよりお前は、家族や自分を大事にしろ。
あんな優しい親父さんや可愛い弟、ポンコツロボットまでいる。
大事にして、お前は死ぬんじゃないぞ!すぐ無茶するからなお前は。
それじゃあ、あばよ。」

カイト「ああ。」

そういい、蕪木は振り返らず一人先に電車に荷物を持ち、上着を翻し電車に乗った。
…その時カイトは、彼の顔から水の雫がこぼれるのを、見逃さなかった。



…バーナァーと蕪木は既に電車に乗り込み、残すところ、あと六子と剣裂と小夜だけだった。
六子は自分の持っている懐中時計を見ながら、名残惜しそうに言った。

六子「…そろそろ、出発する時間ですわね。
…遊馬。」

遊馬「ん?なんだ六子?」

そう言い遊馬の前に六子は歩み寄った。
遊馬は気のない返事でその顔を見たが、その顔がいつになく真剣で、しかも笑っていたから驚いた。

六子「…あなたのおかげで、私は大きく成長できましたわ…。
ありがとうですわ。」

気が付くと、六子は自分の右側に回り込み、自分の右頬に、自分の唇を軽くタッチした!?

小鳥「!?」

遊馬「…へ?」


…あまりにも突然のことで、遊馬は何も言葉が出ず、近くにいた小鳥やキャットちゃんは絶句していた。
それを見て、六子は自分の唇を右で隠し少し愉快そうに、そして楽しそうにこういいながら、電車に乗った。

六子「ふふ、小鳥、ごめんなさいね!でもこれくらい許してくださいませ!
それじゃあ、遊馬、お元気で!」

遊馬「あ…アぁ…。」


剣裂「小夜、ほら、出発するぞ。」

小夜「…うん…。」

小夜は、まだ電車に乗ることを拒んでいるようだった。
この街でできた多くの友達との別れは、この小さい子にはあまりにも辛かった。

小鳥「また会えるわよ。小夜ちゃん。」

遊馬「ああ!そうだぜ、小夜!
かっとビングだ、小夜!」

そういい、自分を励ましてくれる二人を、小夜はみた。
その笑顔と、かっとビングという言葉は、どこか温かく、そして元気をくれた。
そう思い、小夜は再び笑顔を取り戻し、遊馬の前に走りながら言った。

小夜「…かっとビング…。かっとビング!
うん!私、かっとビングでがんばる!
…じゃあね、遊馬お兄ちゃん!」

そう言い、小夜は六子がやったことと同じことを、まねるように遊馬にやった!?

小鳥「!!?」

遊馬「へ!?」


小夜は電車に飛び乗り、そして悪戯をした無邪気な子供の笑顔で遊馬に言った。

小夜「へへ!私のファーストキスだよ!
元気でね!遊馬お兄ちゃん!」

そういい、小夜は輝くような笑顔で、始めて遊馬の事をお兄ちゃんと呼び手を振った!
…遊馬も、そんな小夜の顔を見て、自分も元気づけられながら手を振り返し言った。

遊馬「ああ!またなぁ!小夜!」

小夜「うん!またねぇ!!」


電車のドアは閉まり、走り出した。
遊馬と小夜は、お互いに駅と電車が見えなくなるまで、手を振り続けた。
その心に、お互いに笑顔と、新たな強さを持ちながら。
新たな未来に向かって、走り出した!




































赤い稲妻や、赤い巨大な結晶がいくつもある世界で、ボロボロの男は、悪態をつき続けながら独り言を喋っていた。

ベクター「…くそう!!
結局またやられて終わりかよ…!
…天城カイト!
…神代凌牙!
…アストラル!
…九十九…遊馬!!
許せねぇ!
特にあの九十九遊馬!あいつだけは、絶対にただじゃおかねぇ!
アイツ自身に地獄の苦しみを味あわせて、その上で、あいつのNoを全て奪ってやる!!
…だが、もう人間を利用するのは無しだ!
何をされるかわからないからな…。
やっぱり!他人は信用できねぇ!最初から俺一人でやるべきだったんだ!
…!
そうだ!あいつにも、俺以上の苦しみを与えてやればいいじゃねぇか!
例えばだ、あいつのトモダチとして、俺が人間世界に行って信用を勝ち取る!
そして最高に信用されたところで、俺がバリアンだってばらして、絶望の淵に叩き落とす!
でもそれじゃあ足りねぇな!途中であのアストラルに隠し事をさせて、それをたたくっていうのもいいなぁ!
あとあと、アイツらのあほ面したトモダチをみーんな巻き込んで、迷惑をかけさせるのも捨てがたい!!
…こうしちゃいられねぇ!
早くこの傷を治し、人間世界に潜入する算段を立てなきゃな!
鍵となるNoも、すでにもっているしよぉ!
…さぁ、よからぬことを始めようじゃないか!!」


~~~そして物語は、ゼアルセカンドへ~~~
…遊戯王ZEXAL CN5(コレクターズナンバーズファイブ) 完…
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No title

柴戦士様、CN5執筆お疲れさまでした!今やっと最後まで読み終える事ができました。
デュエルシーンを組み立てて書くのは難しかったと思いますが、どれも楽しいデュエルでした。
エピローグも良かったです。あんな風な後日談的な終わり方、好きです(*´∀`*)

ゼアルが終わってしまって正直若干腑抜けていましたが
お話読ませて頂きまして、ああ自分も何かエンターテインメントせねば!
という気分です。

後で「磯野VS中島」も読ませてもらいますね。
ではまたおジャマさせて頂きます。

Re: No title

>いそみさん

楽しんでもらえたなら、本当よかったです!
デュエル構成は、それぞれこうしたい!!
っていうことを考えて書き上げました!
もう少し、OCGやっているおとーとと相談しておけば、とちょっと思いもしましたが、うまい感じにできて満足です!
エピローグは書いているうちに、どうしてもこういう終わりにしたい!!
っていう願望が出てきて、こう書かせていただきました!
どのキャラも愛着があったので、書いていて楽しかったです!


そう言うお気持ちになっていただけたのなら、この作品も幸せです!
いそみさんならなにかきっとできますよ(^o^)/

磯野VS中島は完全にギャグなので、楽しんで読んでいただけたら幸いですw
ではでは(^o^)/

プロフィール

しばせんし

Author:しばせんし
↑の犬の飼い主が柴戦士
いーぬは喜びゆきかけまわりー



Hyper-和食見習い小僧の20代が、遊戯王、ポケモン、その他生活の雑談を上げていくブログです。(^O^)/
何か変なところがありましたら、いつでも書いてください。迷惑コメントは容赦なくスパム

現在遊戯王でよく使うデッキは、
・スクラップ
・EMオッドアイズ魔術師
・サイフレーム
・ブラマジ
               です(^O^)/


どうしたらスクラップの良さを残し戦えるかを考えています。
スカイプデュエルも、ツイッターか、コメントで相談してもらえればできる予定。

ポケモンは、とある人の動画をきっかけにやり始めました=^_^=
ウルガモスと、カメックスを
対戦でこよなく愛して使ってます。
いつか対戦実況動画とかとってみたいなとおもっていたら取れました。
ニコニコ対戦実況動画
ダブルバトルもできるよ!!…弱いけど
だけど第六世代になってから、色々と時間が足らない様子。

再現料理も、やりたい年頃。
こう見えても現役調理師なので、
料理スキルはあるはず。
何かしてほしい再現料理がありましたら、コメントお願いします<(_ _)>

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