第七話 屑とサイコと仮面戦士 Part2

采子「九朗、そんなに乱暴にさわらないでえぇ。…もっと、優しくね。」

九朗「…。」

采子「違う、違う。そこはぁ、ねぇ。こうやるのぉ。」

九朗「…。」

采子「じゃあぁ。今度は采子にやらせてぇ。私のほうがぁ、上手にできるからぁ。」

九朗「…。」
九朗「こらぁ!!この采子ぉ!!何言ってんだお前は!!?」

采子「こらぁ。九朗ぅ。おおきなこえださなぁいのぉ。」

九朗「だってよぉ!」


采子「ここはぁ、喫茶店だよぉ。」

九朗「…ああ、そうだな。」

ここは喫茶店。俺のお気に入りの『クラーレ』という喫茶店。
公園に行こうと案が出たが、熱いから俺が却下した。
朝早いこの時間帯は、ほぼお客さんがいないのも、把握済みだ。
だからといって、喫茶店で大声を出していい理由にならない。

九朗「く、雑魚が。」

そう吐き捨て、俺は席に着いた。

…要はあれだ。
采子の言っていた『トランサー』というものの説明を聞きたくて、
お互いに会い向かい、窓際の席に座って、
机の上にコーヒーと、ちょっとした茶菓子と、『トランサー』とやらを置いて、
こう話しているところだ。
…しかし、この采子、自由奔放すぎる…。
チラ。

采子「チュー。」

九朗「(…アイスコーヒー飲むときは、結構普通なんだな…。)」

采子「うおぉ!!このアイスコーヒー美味しいね!!
今まで飲んだものの中で一番だよ!!」

九朗「そりゃよかった。」

采子「何かぁ、豆とかぁ、焙煎方法とかぁ、違いがあるんかな?」

九朗「…違うな。」

采子「ちがうのぉ!!?」

九朗「…あの機械をみてみろ。」

九朗が指さしたところには、巨大な三角フラスコというか、
点滴機というか、
とにかく不思議な機械があった。

水出しコーヒー

采子「…あの機械が、関係しているのぉ?」

九朗「あれは、『水出しコーヒー』を作る機械だ。」

采子『水出しコーヒー』ぃ?」

九朗「そう、本来、コーヒーはお湯で一気に味を抽出する。
だが、この機械のコーヒーは、水を少しずつ垂らしていき、
それに味をのせる。だから、コーヒー本来の味がでる。
…だから、美味しいだろう?」

采子「うん!!すっごく美味しいぃよぉ!!
あの機械で取れるなら、采子もあコーヒー好きだから、
機械ほしいなぁ!!」

九朗「ははは、そりゃ無理だな。
あの機械自体、ものすごく高い値段がするからな。
采子の小遣いじゃ買えないよ。」

采子「じゃあ、九朗買ってぇ。」

九朗「だからぁ、無理だって!!
あれ一個で、一番初期のものすごいカードが買えるぞ!?」

采子「…ぶぅ。ケチだねぇ。九朗はぁ。」

九朗「すねたって、駄目だぁ!!
…それより、その、説明をしてくれないか?」

采子「おお!!そうだったねぇ。九朗。
なんだかカラカイやすくて、つい話が弾んじゃったよぉ。
チュー。
…。
うん、美味しいねぇ!!」


そう言い采子は、アイスコーヒーを口にした。
…なんだか、おれのとっておきの店を、
紹介してよかったんだか悪かったんだか…。


采子「…九朗ぅ。」

九朗「…?どうした?」

采子「…これから話すことは、とっても真剣で、大事なことだから、
しっかりと、真面目に聞いてほしいんだぁ。」

そう言い、コーヒーを置き、真剣なまなざしでこちらを見ている。
…いよいよ、それについて、話すのか。
返事は、決まっていた。

九朗「当たり前だろ?」

その時、采子が少し笑った気がした。

采子「ありがとうねぇ。九朗ぅ。
…。
じゃあ、早速説明するよ。」

そう言うや否や、
その『トランサー』というベルトをつかんで、九朗飲みやすい位置に持ってきた。

采子「…これは『トランサー』という、
『サイコ・デュエル・ライダー』というものに返信するベルトですぅ。」

九朗「…。」

采子「そして、『サイコ・デュエル・ライダー』っていうのは、
この前九朗がみたぁ、あの緑の甲冑戦士だよぉ。」

九朗「…。」

采子「そしてね。このベルトの、デッキをはめるところの奥を見ると、スイッチがあるでしょうぅ?
これをオンにしてぇ、腰にこのベルトをはめてぇ、デッキを納めると、
『サイコ・デュエル・ライダー』になれるんだよぉ。
あと、その戦士はぁ、その持ち主のデッキによって…、」

九朗「…違う。」

采子「…へぇ?」

九朗「俺が聞きたいのは、采子、お前が、
どういう気持ちで、どんな目的のために、あんな凄い戦士になって動いているんだ?
それを知りたいんだ。
それがわかったら、お前がどんな力で変身していようが、俺はいい。」

采子「九朗ぅ…。」

これは俺の本心だった。
采子が仮面の戦士になろうが、サイコ電波少女だろうが、
大事なのは、本人の心だ。
それがしっかりしていれば、何も問題ない。

采子は驚くように、
…だけど安心したように、
九朗を見て、話した。

采子「…私は、真っ赤なバイクを乗り回し、
颯爽と現れて超能力と
アクロバットな身体能力でトラブルを解決していく、花阿戸町のヒーロー!!
『サイコ・デュエル・ライダー』!!
私が変身するのは、この街『花阿戸町』の平和と笑顔を守ること。
そのために、どんなに私が傷つこうが、苦しもうが、この身をささげて立ち向かう!!
それが私だよ!!」

冷静に考えるとすごいことを言っている采子。
このとき、俺は驚いた。
彼女の目は、とても清んでいた。
…だけどなんというか、汚れてもいた。
顔には何物も砕く芯の強さが見えた。
…だけど同時にもろさもあった。
だけどそれでもなお、笑った顔で、こっちをまっすぐに見据え、
自信と満足さを放っていた。

…それは、女性経験がない俺でも、綺麗な顔だと思えた。

九朗「…なら、いいんだ。」

采子「あれぇ?九朗ぅ。顔が笑っているよぉ?」

九朗「く、うるさい!!この雑魚が!!?
ズズゥ。アツぅ!!」

采子「ニャハッハッハッハッハ!!慌てて飲むからだよぉ。
はい、ハンカチだよぉ。」

九朗「くっ…。…ありがとうな。」

そういい、ハンカチを受け取り、こぼしたコーヒーを吹いた。

采子「ニャハハハハ!」

九朗「…くそうぅ。…いや、いいか。」

采子「ん!?何何ぃい?采子ちゃん気になるぅ!!」

九朗「うるせい、気にするな。」

二人で他愛のないことで笑って、
驚いて、…あれ?
なんだかこれ、すごく楽しくないか?
兄妹で、家族で、クラスメイトでばか騒ぎすることよりも、ずっと、ずっと。
しかし、いつまでもこんな話題じゃ話がつながらない。
とりあえず、定番の話題でもふってみよう。

九朗「…ところで采子、お前、家族って、どんな感じ・・・。」

采子「じゃあ、この後、二人でジャンボパフェでも…。!?」

ガタ!!

九朗「!!?」

そこで急に立ち上がり、采子は窓の外を見た。
そこでみる采子の顔は、さっきの顔とはまるで違った。
やんわりとした雰囲気はなくなり、
研ぎ澄まされた刃のような顔になった。

采子「…九朗、いくよ、ついてきて。」

そう言うと、采子は一万円札を出して机に置き、
外に飛び出した。

九朗「…ちょっ!!まってくれ!!
マスター、すまない!!」



外に出ると、采子がバイクに乗って待機していた。

采子「九朗、これ被って!!」

そう言うと、采子は何か丸いものを投げてきた。

九朗「…ってこれ、ヘルメじゃん!!」

采子「早く後ろに乗って!!」

九朗「ってええ!!」

言われるがままにヘルメを被り、
とりあえず、後ろに座った。

采子「もっとしっかり前に座って!!
振り落とされるよ!!
私のところに腕をまわして、しっかりつかまっているんだよ!!」

九朗「あ、ああ!!」

もう、全てを言われるがままにして構えた。

采子「出発、『サイコ・ホッパー』!!」

ぶるぅん!!

そう言うと、采子はバイクのエンジンをふかし、一気に加速した。
采子のバイクは、一気にスピードに乗り、道路を走りだした。
それは初めてバイクに乗る九朗にとって、想像を超えるものだった。

自分の体を襲う風圧、
しがみついていないと振り落とされそうな感覚、
夏なのに冷たい風。
全てが、体験したことのない、新しい、危険な世界だった。
だが、そんな世界でも、目をあけると…。

九朗「…これは・・・。」

自分以外の世界が、全て高速に走っている。
そして、その中を走り抜ける爽快感。
自分は確かにこの時間を走っているという感覚。

九朗「…バイクって、すげぇ。」

しばらく、初めて乗るバイクの間隔に、
身をゆだねるのだった。

5分か、10分かは分からない。
ただ走っていたら、目的の場所についたらしい。
そこは、廃工場という表現がぴったりの場所だった。
そこに荒々しくバイクを止めて、采子は降りた。
俺も、一緒に降りる。

九朗「…采子、ここに何が!?」

采子「…見つけたよ、」

そう言うと、采子はその廃工場の奥に立つ男を
ずっと見据えて、そう呟いた。

采子「…屑男、お前を殺しに来た!!」
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プロフィール

しばせんし

Author:しばせんし
↑の犬の飼い主が柴戦士
いーぬは喜びゆきかけまわりー



Hyper-和食見習い小僧の20代が、遊戯王、ポケモン、その他生活の雑談を上げていくブログです。(^O^)/
何か変なところがありましたら、いつでも書いてください。迷惑コメントは容赦なくスパム

現在遊戯王でよく使うデッキは、
・スクラップ
・EMオッドアイズ魔術師
・サイフレーム
・ブラマジ
               です(^O^)/


どうしたらスクラップの良さを残し戦えるかを考えています。
スカイプデュエルも、ツイッターか、コメントで相談してもらえればできる予定。

ポケモンは、とある人の動画をきっかけにやり始めました=^_^=
ウルガモスと、カメックスを
対戦でこよなく愛して使ってます。
いつか対戦実況動画とかとってみたいなとおもっていたら取れました。
ニコニコ対戦実況動画
ダブルバトルもできるよ!!…弱いけど
だけど第六世代になってから、色々と時間が足らない様子。

再現料理も、やりたい年頃。
こう見えても現役調理師なので、
料理スキルはあるはず。
何かしてほしい再現料理がありましたら、コメントお願いします<(_ _)>

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